介護の転職時期は、求人の多い月を待つより、賞与の支給日・資格の合格発表・退職の申し出期限から逆算して決めるのが確実です。介護サービス職業の有効求人倍率は3.89倍(厚生労働省・令和8年8月・パート含む)で、全職業の1.06倍を大きく上回ります。在職中に、退職したい日の2〜3か月前から動き始めましょう。
この記事でわかること
- 介護の求人が求職者を大きく上回っていることを、厚生労働省の統計で確かめる方法
- 転職の時期を決める4つの基準(賞与・処遇改善の一時金・資格・シフト)
- 退職したい日から逆算したスケジュールと、退職の申し出のルール
- 季節ごとの動きやすさと、転職理由ごとの時期の考え方
公的情報源: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表(参照)/介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」(参照)
いつ辞めるかを決める前に、通える範囲にどんな募集があるかを見ておくと、時期の判断がしやすくなります。登録は無料で、未経験やブランクのある方も相談できるそうです。
「転職するなら、いつ動くのがいちばん得なんだろう」と迷って、なかなか一歩目が出ない方は多いと思います。賞与をもらってからか、年度替わりか、資格を取ってからか。考えるほど決めにくくなるのが転職の時期です。
介護の仕事は、ほかの業界とくらべて求人がとても多いのが特徴です。そのぶん、時期は「世の中の求人の波」より「自分の職場と生活の事情」で決めやすくなります。ここでは、退職したい日から逆算して時期を決める手順をまとめました。
介護の転職に「得な時期」はあるのか
介護の求人は、求職者の数を大きく上回っています。そのため、ほかの仕事ほど「この月を逃すと求人がない」と心配しなくても大丈夫でしょう。
有効求人倍率(常用・パート含む)の比較(厚生労働省・令和8年8月)
| 区分 | 有効求人数 | 有効求職者数 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 介護サービス職業従事者 | 202,780 | 52,183 | 3.89倍 |
| 職業計(全体) | 2,028,673 | 1,914,602 | 1.06倍 |
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」の参考統計表では、介護サービスの仕事は、求職者1人に対して求人が約3.9件あります。全職業の1.06倍とくらべると、3倍以上の開きです。
全体の求人は年明けと秋に増える
全職業の月別の数字を見ると、新しく出る求人(新規求人)は1月と10月に多い傾向があります。令和8年1月は865,721件、令和7年10月は860,362件で、前後の月より多くなりました。
一方で、就職件数がもっとも多いのは3月(令和8年3月 125,652件)、新しく仕事を探し始める人がもっとも多いのは4月(同年4月 522,095人)です。年度替わりは、求人も増えますが、探す人も増える時期になります。
なお、これは全職業の数字です。介護の仕事だけの月別の求人の増減は、公表資料では確認できませんでした。介護は求人が求職者を大きく上回っているので、季節の波より、次の章の4つの基準を優先して時期を決めてください。
転職の時期を決める4つの基準
介護の転職で時期を左右するのは、お金・資格・シフトの事情です。次の4つを先に確かめておくと、損をしない退職日が決められます。
時期を決める4つの基準と、確かめる場所
| 基準 | 何に気をつけるか | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 賞与 | 支給日に在籍していないともらえない場合がある | 就業規則・賃金規程 |
| 処遇改善の一時金 | 月給に含むか、まとめて払うかが職場で違う | 賃金規程・給与明細 |
| 資格 | 介護福祉士は合格発表が2027年3月23日 | 試験センター・厚生労働省 |
| シフト | 夜勤は月単位で組まれることが多い | 職場の勤務表の締め日 |
賞与と一時金は「支給日に在籍」が条件のことがある
賞与は、支給日に在籍している人だけに払う決まりにしている職場があります。退職日を支給日より前にすると、査定期間に働いていても受け取れないことがあるので注意が必要です。
処遇改善加算の配分も、毎月の手当に含める職場もあれば、年に数回の一時金でまとめて払う職場もあります。まとめ払いの職場なら、支給月をまたいでから辞めるほうが手取りは多くなります。加算の仕組みは介護職員等処遇改善加算とはにまとめました。
資格は合格発表のあとに動く手もある
介護福祉士の資格は、転職先での手当や担当できる仕事に関わる資格です。
第39回介護福祉士国家試験は、試験日が2027年1月31日(日)、合格発表が2027年3月23日(火)14時と厚生労働省が案内しているので、日程は今から押さえられます。
受験する予定なら、合格発表のあとに応募すると、履歴書に資格を書いて面接に臨めます。4月入職をめざすなら、発表前から求人を見ておき、発表後すぐに応募できるよう準備しておきましょう。
夜勤のシフトが組まれる前に伝える
夜勤のある職場では、勤務表を月単位で作ることが多くあります。翌月のシフトが固まったあとに退職を伝えると、組み直しの負担が大きくなり、話がこじれやすくなります。
退職を伝えるのは、勤務表の締め日より前が無難です。締め日は職場ごとに違うので、普段のシフト希望の提出日を目安にしてください。
退職したい日から逆算するスケジュール
在職中に次の職場を決めてから辞めるなら、退職したい日の2〜3か月前に動き始めると余裕が出ます。逆算の流れは次のとおりです。
退職したい日から逆算した流れ
- 退職したい日を先に決める
- 13か月前:条件を決めて情報を集める賞与の支給日・シフトの締め日・資格の予定を確かめる
- 22か月前:応募・見学・面接見学で夜勤の人数や記録の方法を見ておく
- 3内定後:退職を申し出る就業規則の申し出期限に合わせ、勤務表の締め日より前に
- 4最後の1か月:引き継ぎと有給休暇利用者ごとの申し送りを残し、残った有給休暇の使い方を相談する
賞与や一時金の支給日をまたぐなら、退職日はその後ろに置く。
図:退職日を先に決め、申し出は内定が出てから
退職の申し出は就業規則に合わせる
期間の定めのない雇用なら、退職の意思を伝えてから2週間たてば、会社の承諾がなくても退職は成立します。茨城労働局のQ&Aでも、民法の規定としてこの点が説明されているとおりです。
ただし同じQ&Aでは、就業規則に申し出の期限があり、それが極端に長くなければ、規則に沿って申し出たほうがよいとしています。「1か月前まで」などの決まりを置く職場もあるので、まず就業規則を確かめてください。
辞めてから探す場合は給付制限を確かめる
先に辞めてから探す場合、自己都合の退職だと失業給付が出るまでに待つ期間があります。中小機構のJ-Net21によると、2025年4月1日からは、この給付制限が原則2か月から1か月に短くなりました。
ただし、過去5年間に3回以上自己都合で退職している場合は、従来どおり3か月です。収入が途切れる期間を短くしたいなら、やはり在職中に次を決めるほうが安心です。
在職中でも、希望の勤務形態や通える範囲を伝えておけば、条件に合う募集の案内を受けられます。面談で賞与や夜勤の条件を先に聞けるので、退職日を決める参考にもなるはずです。
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季節ごとの動きやすさ
介護は求人の多い仕事ですが、季節によって動きやすさは少し変わります。全職業の統計と、職場の事情から考えられる目安をまとめました。
季節ごとの動きやすさの目安
| 時期 | 動きやすい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 全体の新規求人が多い。4月入職に向けて準備できる | 介護福祉士の受験と重なる |
| 4〜6月 | 年度初めの入職者が落ち着く | 4月は探す人がもっとも多い |
| 7〜9月 | 夏の賞与のあとに動ける | 夏の賞与の支給日を確かめる |
| 10〜12月 | 10月は全体の新規求人が多い | 年末年始のシフトが早めに組まれる |
「全体の新規求人が多い」「探す人が多い」は、厚生労働省の全職業の月別データから読んだ傾向です。介護の求人だけに当てはまるとは限らないので、季節の差は小さく見積もってください。
4月入職をねらうなら年明けから
年度替わりの4月入職を考えるなら、1月には求人を見始めると間に合います。3月は全体の就職件数が年でもっとも多い月で、ほかの人と動きが重なりやすい時期です。
年末年始をまたぐときの注意
12月の勤務表は、年末年始の人手を確保するため早めに組まれることがあります。年内に退職したい場合は、11月のうちに申し出ておくと調整しやすいでしょう。
転職理由ごとの時期の考え方
時期の決め方は、なぜ辞めたいかで変わります。介護労働安定センターの令和7年度の調査では、直前の介護の仕事を辞めた理由で多かったのは「職場の人間関係に問題があったため」(27.3%)でした。
転職理由で変わる時期の決め方
- いちばんの転職理由はどれか
- 人間関係・心身の不調時期を待たない。体と生活を守るのが先
- 給料を上げたい賞与・一時金の支給日をまたいでから辞める
- 資格を生かしたい合格発表のあとに応募する
- 夜勤や勤務時間を変えたい勤務表の締め日に合わせて申し出る
図:心身がつらいなら時期より早さ。それ以外はお金と資格の予定で決める
人間関係がつらいときは時期を待たない
同じ調査では、人間関係を理由に辞めた人のうち45.8%が「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」を挙げています。眠れない、出勤前に体調を崩すといった状態なら、賞与の時期を待つより、早く環境を変えることを優先してください。
辞めるか続けるか迷う段階なら、介護職を辞めたいときの判断基準や介護職の人間関係も読んでみてください。
資格を取りながら移りたいとき
まだ資格がない、または上の資格を取りたい場合は、資格取得を支援する職場を選ぶのもひとつの方法です。働きながら受講できる仕組みがある職場なら、転職の時期と資格の時期を分けて考えずに済みます。
時期より早さを優先したいサイン
- 出勤前に体調を崩す日が続いている
- 上司や先輩の言動がつらく、相談できる相手がいない
- 人手が足りず、休みの希望がほとんど通らない
資格がなくても始められる募集や、働きながら資格を取れる支援のある募集を探せます。登録に費用はかかりません。
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よくある質問
Q1:介護の転職でおすすめの時期はいつですか?
介護は求人が求職者を大きく上回っているので、季節より、賞与の支給日・資格の合格発表・勤務表の締め日から逆算して決めるのが確実です。4月入職をねらうなら、1月から求人を見始めると間に合います。
Q2:賞与をもらってすぐ辞めても大丈夫ですか?
支給日に在籍していれば受け取れる決まりなら、支給後に退職しても受け取れます。ただし、支給日在籍の条件や返還の決まりは職場ごとに違うので、就業規則や賃金規程で確かめてください。
Q3:退職は何か月前に伝えればいいですか?
法律上は、期間の定めのない雇用なら2週間前の申し出で退職できます。とはいえ、就業規則に「1か月前まで」などの決まりがあれば、それに合わせるのが無難です。夜勤のある職場なら、勤務表の締め日より前に伝えましょう。
Q4:介護福祉士の試験を受けるなら、転職は合格後がいいですか?
合格後に応募すると、資格を書いた履歴書で面接に臨めます。第39回の合格発表は2027年3月23日です。4月入職をめざすなら、発表前に求人を見ておき、発表後すぐに応募できるよう準備してください。
Q5:先に辞めてから転職活動をしても大丈夫ですか?
できますが、自己都合の退職だと失業給付が出るまでに給付制限があります。2025年4月からは原則1か月です。収入が途切れないよう、できれば在職中に次の職場を決めてください。
まとめ
この記事のまとめ
- 介護サービス職業の有効求人倍率は3.89倍(令和8年8月・パート含む)。全職業の1.06倍より高い
- 時期は、賞与・処遇改善の一時金・資格の合格発表・勤務表の締め日の4つから逆算する
- 在職中に、退職したい日の2〜3か月前から動き始める
- 退職の申し出は法律上2週間だが、就業規則の期限に合わせるのが無難
- 人間関係や体調がつらいときは、時期を待たずに環境を変えることを優先する
転職の時期に正解は1つではありません。お金と資格の予定を書き出し、退職したい日を先に決めてしまえば、あとは逆算して動くだけです。
退職したい日が決まったら、通える範囲の求人を先に見ておきましょう。希望の勤務形態や夜勤の有無を伝えれば、条件に合う募集の案内を受けられます。
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免責事項
※本記事は執筆時点で公表されている厚生労働省の統計・介護労働安定センターの調査・公的機関の案内をもとにした整理であり、個々の事業所の賞与・手当の支給条件や就業規則とは異なります。退職や給付の手続きは、勤務先の就業規則とハローワーク・労働局の案内で最新の内容をご確認ください。

