介護の職務経歴書は、勤務先の名前より「どんな施設で何を担当したか」で読まれます。介護職員の配置は特別養護老人ホームで入所者3人に1人以上、グループホームは1ユニット5〜9人と法令で決まっているため、定員や利用者数を書くだけで業務量が伝わるからです。施設種別ごとに書くべき項目を整理します。
この記事でわかること
- 採用側が職務経歴書で見ているのは勤務先名ではなく「施設の規模」と「担当した行為」であること、その理由
- 施設種別ごとに書くべき項目が違う(特養・有料・グループホーム・デイ・訪問)ことと、その対応表
- 職務経歴書に書く数字と書かない情報の線引き(定員・担当利用者数・夜勤回数・喀痰吸引等の実施可否)
- 経験が浅い・無資格・ブランクあり・異業種のときに職歴欄へ何を書くか
- 手書きを求められたときの分量設計と、書き直しを減らす下書きの順序
- 履歴書と職務経歴書で同じことを二度書かないための役割分担
公的情報源: e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(参照)/「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(参照)/「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(参照)/「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」(参照)/厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(参照)
職務経歴書に何を書くかは、応募先がどんな施設かで変わります。求人条件で施設の定員や勤務体制を眺めておくと、書く材料が集まります。
結論を先に整理します
介護の職務経歴書でつまずく原因の多くは、「施設名と在籍期間だけ書いて終わっている」ことにあります。採用側が知りたいのは、そこで何人を、どんな体制で、何を担当したかです。
そして、その「何を書けば伝わるか」は施設種別ごとに違います。特養で効く項目とデイサービスで効く項目は別物。汎用のテンプレートに介護の言葉を差し替えるだけでは、量が同じでも中身が伝わりません。
この記事の要点
- 職務経歴は「施設概要 → 担当業務 → 数字」の3ブロックで書く。施設名と期間だけでは読めない
- 施設概要が要るのは、配置基準と定員から業務量が推定できるから。特養は入所者3人に1人以上、デイは利用者15人まで介護職員1人以上
- 特養=定員とユニット型か従来型か/デイ=1日の利用定員と送迎/訪問=1日の訪問件数と移動手段のように、書く項目が種別で変わる
- 数字には書く欄と書かない欄がある。利用者が特定される情報・施設の内部事情は書かない
- 経験が浅いときは期間でなく「担当した行為」を正確に並べる。誇張より正確さが効く
- 手書きを求められたらA4横書き1枚に収める前提で、行数を決めてから清書する
介護の職務経歴書は「どこで働いたか」より「何を担当したか」で読まれる
介護の採用担当が職務経歴書を開いて最初に探すのは、応募者が「どのくらいの業務量の現場」で「どこまでの行為」を担ってきたかです。施設名そのものを知っているケースは、そう多くありません。
同じ「特別養護老人ホームで3年」でも、80床の従来型フロアで働いた3年と、10人のユニットで働いた3年では、身についた経験がまったく違います。この違いが書かれていないと、経験年数だけが残ります。
採用側の疑問と、職務経歴書のどこで答えるか
| 採用側が知りたいこと | 答える場所 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| どのくらいの業務量の現場か | 施設概要 | 入所定員80名(従来型)/1日の利用定員35名 |
| 何ができる人か | 担当業務 | 食事・入浴・排泄介助、記録、送迎、レク企画 |
| 夜勤や単独対応の経験は | 数字 | 夜勤 月4〜5回(16時間夜勤・2名体制) |
| チームでどう動けるか | 担当業務 | 申し送り、多職種会議への参加、新人指導 |
| 長く働けそうか | 在籍期間と並び | 各職の在籍期間と、退職から次職までの流れ |
施設概要は「業務量の物差し」になる
介護職の配置人数は、事業者が自由に決めているわけではありません。サービスの種類ごとに、法令で下限が定められています。
たとえば特別養護老人ホームでは、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準により、介護職員と看護職員の総数は常勤換算で入所者3人につき1人以上とされています。定員80名なら、24時間・週7日を回す職員数の見当がつくわけです。
通所介護(デイサービス)も同じ考え方です。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では、介護職員は利用者15人までは1人以上、15人を超える分は5人ごとに1人を加えた数以上と定められています。
つまり定員を1行書くだけで、採用側は現場の忙しさをかなり正確に想像できる。これが「施設概要を書きましょう」と言われる本当の理由です。
同じ3年でも、読まれ方はここまで変わる
書き方の違いを並べると差がはっきりします。左は施設名と期間だけ、右は施設概要と担当業務を添えたものです。
職歴欄の書き方の比較
| 伝わりにくい書き方 | 伝わる書き方 |
|---|---|
| ◯◯苑(特別養護老人ホーム)/介護職員/3年 | ◯◯苑(特別養護老人ホーム・入所定員80名/従来型・平均要介護度3.9)/介護職員/夜勤 月4〜5回・16時間夜勤を2名体制で40名担当 |
| ◯◯デイサービス/介護職員/2年 | ◯◯デイサービス(1日の利用定員35名・入浴介助あり・送迎あり)/介護職員/入浴担当と送迎運転を兼務 |
| ◯◯ヘルパーステーション/訪問介護員/2年 | ◯◯ヘルパーステーション(利用者約60名・自転車と自動車で移動)/訪問介護員/1日5〜6件訪問・身体介護が約7割 |
右側は、文字数としては1行増えただけです。それでも採用側が「うちで何ができるか」を判断できる情報量はまったく違います。
「担当した行為」は資格名より具体で書く
資格の名称は履歴書側でも確認されます。職務経歴書で効くのは、実際に担当していた行為の範囲です。
「入浴介助」と一言で書くより、「一般浴・機械浴の両方を担当」「2人介助での移乗」と書いたほうが、受け入れ側は配置を想像しやすくなります。行為の粒度を1段階細かくするだけで、伝わり方が変わります。
介護の職務経歴書を書く5ステップ|順番を決めれば手が止まらない
介護の職務経歴書を書く順序
- いきなり書き始めると手が止まります。事実の棚卸しから始め、要約は最後に書きます。
- 1事実を棚卸しする在籍期間・施設概要(種別と定員)・担当業務・資格の取得年月・数字を、別紙にすべて書き出す
- 2形式を決める介護1事業所なら編年体式、施設種別を渡ってきたなら逆編年体式、同職種で事業所数が多いならキャリア式
- 3職務経歴を施設ごとに書く「施設概要 → 担当業務 → 数字・実績」の3ブロックを、事業所の数だけ繰り返す
- 4職務要約を最後に書く書き終えた職務経歴を200〜300字に圧縮する。先に書くとズレるので必ず後回し
- 5活かせる知識・スキルと自己PRを添える応募先の施設種別で使える経験だけを選ぶ。志望理由の本体は履歴書側へ回す
要約を最後に書くと、職務経歴との食い違いが起きません。
図:介護の職務経歴書は「棚卸し→形式→職務経歴→要約→自己PR」の順で書く
職務経歴書が書けないときは、文章力ではなく順番の問題であることがほとんどです。先に材料を全部出し、あとから並べれば手は止まりません。
- 事実を棚卸しする(在籍期間・施設概要・担当業務・資格・数字)
- 形式を決める(編年体式/逆編年体式/キャリア式)
- 職務経歴を施設ごとに書く(概要→担当業務→数字の3ブロック)
- 職務要約を最後に書く(200〜300字)
- 活かせる知識・スキルと自己PRを添える
ステップ1:先に事実を全部書き出す
いきなり清書用紙に向かうと、途中で「あの施設は何床だったか」と手が止まります。まず別紙に、在籍期間・施設種別・定員・担当業務・夜勤回数・資格の取得年月を思い出せるだけ書き出しましょう。
定員や平均要介護度が思い出せない場合は、その施設の公式サイトや、都道府県の介護サービス情報公表システムで確認できます。推測で書かず、確認できた数字だけを載せます。
ステップ2:3つの形式から選ぶ
形式は3つあり、経歴の形で選びます。介護業界では施設種別を渡ってきた人が多いため、直近から並べる逆編年体式が使いやすい場面が目立ちます。
職務経歴書の3つの形式と向き不向き
| 形式 | 並べ方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 編年体式 | 古い職歴から順に | 介護での勤務先が1〜2か所・キャリアが一直線 |
| 逆編年体式 | 直近の職歴から順に | 直近の経験を最も見せたい・施設種別を渡ってきた |
| キャリア式 | 職種・業務内容ごとにまとめる | 事業所数が多い・同じ職種を複数か所で経験 |
転職回数が多いときは、キャリア式で「入所施設での経験」「在宅サービスでの経験」のようにまとめます。回数の多さより、経験の幅が前に出る並べ方です。
ステップ3:職務経歴は3ブロックの繰り返しで書く
事業所ごとに、①施設概要 ②担当業務 ③数字・実績の順で書きます。この3ブロックを事業所の数だけ繰り返すだけで、形はそろいます。
担当業務は文章でつなげず、箇条書きにしましょう。読み手は流し読みをするので、行頭がそろっているほうが情報を拾いやすくなります。
ステップ4:職務要約は最後に書く
職務要約は冒頭に置きますが、書く順番としては最後です。先に書くと、あとから職務経歴を直したときに内容がずれます。
分量は200〜300字が目安。「どの施設種別を、通算何年、どんな立場で経験したか」を1〜2文でまとめ、最後に応募先で活かせる点を1文添えれば足ります。
ステップ5:自己PRは1〜2本に絞る
自己PRを3本も4本も並べると、どれも印象に残りません。応募先の施設種別に効くものを1〜2本に絞ります。
なお志望動機は履歴書側が主役です。志望動機の組み立て方と例文は、介護の転職 志望動機の例文で施設タイプ別に整理しています。職務経歴書の自己PRと丸ごと同じ文章にならないよう、役割を分けて使ってください。
【施設種別】書くべき項目は施設ごとに変わる
施設種別ごとに必ず書きたい項目
- 採用側は「配置基準 × 定員」で業務量を読む。だから書くべき数字が種別で変わる
- 特別養護老人ホーム入所定員/ユニット型か従来型か/ユニット数/平均要介護度/夜勤の人数と担当人数。介護職員と看護職員の合計は入所者3人に1人以上が下限
- 有料老人ホーム介護付(特定施設の指定あり)か住宅型かを最初に明記/入居定員/自立と要介護の割合。介護付は要介護者3人に1人以上
- グループホームユニット数(1〜3)/1ユニットの入居定員(5〜9人)/夜勤が1人体制か/認知症ケアで担当した具体的な関わり
- デイサービス1日の利用定員/1日あたりの平均利用者数/送迎の有無と運転できる車両/入浴介助の担当/レクリエーションの企画経験
- 訪問介護1日の訪問件数/移動手段/身体介護と生活援助の比率/サービス提供責任者の経験。サ責は利用者40人に1人以上が配置の下限
図:施設種別ごとに、職務経歴書で必ず書きたい項目は変わる
ここが、汎用テンプレートでは埋まらない部分です。同じ「介護職員」でも、施設種別が変われば採用側が確認したい項目が変わります。
施設種別ごとに書く項目と、採用側が見ている理由
| 施設種別 | 必ず書きたい項目 | 採用側がそこから読むこと |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 入所定員/ユニット型か従来型か/平均要介護度/夜勤の体制 | 重度対応の経験量と、夜勤帯で1人が抱える人数 |
| 介護老人保健施設 | 入所定員/在宅復帰への取り組み/リハ職との連携 | 在宅復帰を前提とした関わりができるか |
| 介護付有料老人ホーム | 特定施設の指定の有無/入居定員/要介護度の分布 | 施設職員として身体介護を担ってきたか |
| 住宅型有料・サ高住 | 併設訪問介護の有無/雇用主/担当した業務の範囲 | 身体介護の担い手が住宅側か訪問側か |
| グループホーム | ユニット数/1ユニット定員/夜勤1人体制かどうか | 少人数ケアと単独夜勤での判断力 |
| デイサービス | 1日の利用定員/平均利用者数/送迎と運転/入浴担当 | 日中の稼働量と、送迎に入れる人材か |
| 訪問介護 | 1日の訪問件数/移動手段/身体と生活の比率 | 単独訪問での判断力と1日の稼働量 |
特別養護老人ホーム:ユニット型か従来型かを必ず書く
特養で最も伝わる情報は、入所定員と「ユニット型か従来型か」です。同じ基準省令でも、ユニット型は1ユニットの入居定員がおおむね10人以下(15人を超えない)と定められており、働き方が別物になります。
従来型は多床室を含む大人数のフロアを流れで回す形、ユニット型は少人数を固定担当で見る形。どちらの経験かで、次の職場での立ち上がり方が変わります。
夜勤は「月4〜5回」だけでなく、その夜に何人を何名体制で見ていたかまで書くと精度が上がります。特養での働き方の全体像は、特別養護老人ホームへの転職で整理しています。
有料老人ホーム:介護付か住宅型かで意味が変わる
有料老人ホームは、「介護付」と「住宅型」で職務経歴書の読まれ方が逆になります。介護付は特定施設入居者生活介護の指定を受けており、施設の職員が身体介護を提供します。
指定基準では、看護職員と介護職員の合計は常勤換算で要介護者3人に1人以上。つまり介護付での経験は「施設職員として身体介護を担ってきた経験」として読まれます。
住宅型やサービス付き高齢者向け住宅では、身体介護を併設の訪問介護が担うことが多く、雇用主が住宅ではない場合があります。どちらの立場で働いていたかを1行で明記しておくと、誤解が起きません。
グループホーム:ユニット数と夜勤1人体制を書く
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準により、共同生活住居の数は1以上3以下、1ユニットの入居定員は5人以上9人以下と定められています。
この数字が小さいぶん、夜勤を1人で担当していたかどうかが大きな情報になります。9人を1人で見る夜勤と、40人を2人で見る夜勤では、求められる判断がまったく違うためです。
認知症ケアについては「認知症の方への対応」と抽象的に書かず、具体的な関わり方を1行添えます。「なじみの関係づくりを重視した声かけ」「帰宅願望への対応を職員間で統一」といった書き方が伝わります。
デイサービス:定員・送迎・入浴の3点で伝わる
デイサービスは、1日の利用定員が業務量の目安になります。定員は「同時にサービスを受けられる利用者数の上限」として設備基準の前提になっており、定員35名と定員18名では現場の動き方が別物です。
加えて重要なのが送迎です。運転経験の有無と、運転できる車両(軽自動車・ワゴン・リフト車)を書いておくと、採用側は配置を具体的に検討できます。
入浴介助は担当だったか、一般浴か機械浴か、1日何名の入浴を回していたか。この3点はデイの求人でほぼ確実に確認される項目です。レクリエーションの企画経験があれば1行添えましょう。
訪問介護:1日の訪問件数と移動手段を書く
訪問介護では、1日に何件訪問していたかが稼働量の指標になります。5〜6件と10件では、移動と記録にかかる負荷が大きく変わるためです。
移動手段(自転車・原付・自動車)は、応募先の担当エリアと直結します。自動車での訪問が前提の事業所では、この1行があるかどうかで書類の通過が変わることもあります。
サービス提供責任者の経験があれば必ず書きます。基準省令ではサ責は利用者40人に1人以上(一定の要件を満たす事業所は50人に1人以上)の配置とされており、担当していた利用者数を添えると規模が伝わります。訪問介護そのものの働き方は、訪問介護への転職で整理しています。
応募先の施設種別が決まると、職務経歴書に書くべき項目もはっきりします。まずは通える範囲の求人を種別ごとに見比べて、定員や勤務体制を確認してみてください。
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数字は「書く欄」と「書かない欄」を分ける
「具体的な数字を入れましょう」というアドバイスはよく見かけます。ただ介護では、書いてはいけない情報も同じくらい多いのが実情です。線引きを先に決めておきましょう。
職務経歴書に書く情報・書かない情報
| 区分 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 書く | 入所・利用定員、担当した利用者数、夜勤の回数と体制 | 業務量が推定でき、採用側の判断材料になる |
| 書く | 記録の方法(紙・介護記録ソフト)、送迎の運転可否 | 入職後にすぐ動けるかが分かる |
| 書く | 喀痰吸引等研修の修了、認定証の有無 | 実施できる行為の範囲が確定する |
| 書く | 委員会・研修担当・新人指導などの役割 | チームでの立ち位置が伝わる |
| 書かない | 利用者の氏名・疾患名・家族構成など個人が特定される情報 | 守秘義務に触れる。記録の内容は持ち出さない |
| 書かない | 前職の人員不足・行政指導・内部トラブル | 施設批判と受け取られ、同じことをされる懸念を持たれる |
| 書かない | 確認できていない推測の数値 | 面接で聞かれたときに答えられない |
夜勤は「回数」より「体制」まで書く
夜勤の記載は「月4〜5回」で止めないのがポイントです。16時間夜勤か2交代か3交代か、1回の夜勤で何名を何人体制で見ていたかまで書きます。
同じ月5回でも、40名を2名で回す夜勤と、9名を1人で見る夜勤では負担も判断の重さも違います。ここを書いておくと、夜勤ありの求人で条件が合うかを採用側が先に判断できます。
記録の方法は思っている以上に見られている
介護記録は紙のところもあれば、介護記録ソフトやタブレットを使うところもあります。どちらの経験があるかは、入職後の教育コストに直結します。
具体的なソフト名まで書ける場合は書いて構いません。書けない場合でも「介護記録ソフトでの記録・申し送りを日常的に使用」と1行あれば十分に伝わります。
喀痰吸引等の実施可否は職務経歴側で活きる
喀痰吸引等は、研修を修了して認定を受けた介護職員等が、医師の指示のもとで実施できる行為です。社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条で、対象となる行為は次の5つと定められています。
- 口腔内の喀痰吸引
- 鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内部の喀痰吸引
- 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
- 経鼻経管栄養
研修を修了しているなら、資格欄に名称を書くだけでなく、職務経歴側に「実施経験あり」と添えると評価が変わります。医療的ケアの必要な入居者が多い施設ほど、この1行の重みは大きくなります。
制度の詳細は厚生労働省の喀痰吸引等制度についてのページで公開されています。未修了なら、書かずに空欄のままで構いません。実施できない行為を書くと、入職後に困るのは自分です。
思い出せない数字は「約」か範囲で書く
定員や利用者数がどうしても確認できないときは、「約60名」「1日5〜6件」のように範囲で書きます。正確な数字を装う必要はありません。
面接では、書いた数字を根拠に質問されます。答えられる範囲で書くのが、結果的にいちばん安全です。
経験が浅い・無資格・ブランクありのときに職歴欄へ何を書くか
経験の少なさは、書き方では消せません。ただし「書ける材料がない」と「材料の出し方を知らない」は別物です。ここでは足りない側から埋める方法を整理します。
経験1年未満:期間ではなく「担当した行為」で埋める
在籍が半年でも、担当した行為は書けます。食事介助・排泄介助・入浴介助・移乗・見守り・記録・申し送りのうち、実際に1人で担当できたものだけを並べます。
数が少なくても構いません。むしろ「移乗は2人介助のみ経験」のように、できる範囲を正確に区切って書くほうが信用されます。入職後の指導計画が立てやすくなるためです。
無資格:入れなかった業務も含めて範囲を明確にする
無資格の場合、身体介護に入れない前提で働いていたはずです。生活援助・見守り・レクリエーション・配膳下膳・送迎補助・清掃といった、実際に担当した業務を具体的に書きます。
そのうえで「介護職員初任者研修を受講予定」など、資格取得の見通しを1行添えます。取得予定がない場合は、無理に書かなくて構いません。
異業種から:前職を介護の業務語に翻訳する
異業種からの応募で効くのは、前職の業務を介護の現場で使う言葉に置き換えることです。「接客経験があります」だけでは、採用側は使い道を想像できません。
前職の経験を介護の業務に翻訳する
| 前職 | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|
| 接客・販売 | 利用者・家族への説明、要望の聞き取り、苦情対応の一次対応 |
| 事務 | 記録の正確さ、書類の管理、シフト作成の補助 |
| 運転・配送 | 送迎業務、経路と時間の管理、車両の日常点検 |
| 調理・飲食 | 食事形態への理解、衛生管理、配膳の段取り |
| 医療事務・看護助手 | 医療用語の理解、バイタル測定の記録、多職種との連携 |
| 保育 | 一人ひとりの状態に合わせた関わり、記録と保護者対応 |
| 製造・工場 | 手順の遵守と安全確認、交代勤務での体調管理 |
翻訳するときのコツは、動詞をそのまま残すことです。「聞き取る」「記録する」「段取りする」といった行為の言葉は、業界が変わっても意味が通ります。
ブランクあり:空白の説明は1行、準備を2行
ブランクは隠しても年月で分かります。理由は1行で足り、そのあとに再開の準備を書くほうが効果的です。
家族の介護をしていた期間は職歴ではないため、職務経歴の欄に混ぜません。自己PRの側で「家庭で介護に関わった経験がある」と触れる形にすると、時系列が崩れません。
復職前に研修を受けた、ボランティアに参加した、資格の更新をしたといった動きがあれば、そのまま書きます。何もしていない場合は、応募時点で受講を申し込んでからでも遅くありません。
未経験や無資格からなら、働きながら資格を実質0円で取れる派遣という選択肢もあります。「資格を取りながら長く働きたい」と職務経歴書に書ける根拠にもなるので、条件を無料相談で確認しておくと安心です。
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手書きで職務経歴書を求められたときの分量設計
求人票や施設から「手書きで」と指定されることがあります。手書きは書き直しの負担が大きいので、書き始める前に分量を決めておくのが最大のコツです。
A4横書き1枚に収める前提で設計する
職務経歴書はA4サイズが基本で、パソコン作成なら1〜2枚が一般的です。ただ手書きなら1枚に収める前提で組み立てたほうが現実的でしょう。
理由は単純で、2枚目に入ると清書の失敗確率が2倍になるからです。1枚に収めるには、載せる事業所を直近から3か所程度に絞り、古い職歴はまとめて1行に圧縮します。
書き直しを減らす下書きの順序
手書きで失敗する原因は、行数を数えずに書き始めることです。次の順番で進めると、清書は一度で終わります。
- 別紙に、載せる事業所と施設概要・担当業務をすべて書き出す
- 載せる事業所を絞る(直近3か所程度・古い職歴は1行に圧縮)
- 各ブロックの文字数を数え、清書用紙の行数に収まるか確認する
- 鉛筆で薄く下書きし、行末のはみ出しがないか見る
- 黒のボールペンで清書し、乾いてから消しゴムをかける
3の「行数を数える」を飛ばすと、最後の1行が入らずに全部書き直しになります。ここだけは省略しないでください。
書き損じたら修正液を使わず書き直す
応募書類では、修正液・修正テープを使わないのが原則です。1文字の書き損じでも、その用紙は使わずに新しい用紙で書き直します。
そのため、清書用紙は最初から3枚以上用意しておくのが現実的です。予備がないと、失敗した用紙を無理に使うことになります。
手書きとパソコンの使い分け
指定がない場合は、履歴書だけ手書き、職務経歴書はパソコンという組み合わせが扱いやすい方法です。職務経歴書は箇条書きと項目立てが多く、レイアウトの調整が効くパソコンのほうが読みやすく仕上がります。
指定が「手書き」なら、履歴書と職務経歴書の両方を手書きにそろえます。片方だけ印刷だと、統一感のなさが目につきます。
履歴書と職務経歴書で同じことを二度書かない
履歴書と職務経歴書の役割分担
- 役割
- 応募者が誰かを確定する書類
- 職歴
- 事業所名と在籍期間を1行ずつ
- 資格
- 取得年月を正式名称で記載
- 志望動機
- ここが主役。応募先ならではの理由を書く
- 自己PR
- 短く要点だけ
- 本人希望
- 勤務条件はここに書く
- 役割
- 何ができる人かを判断する書類
- 職歴
- 施設概要・担当業務・数字まで詳しく
- 資格
- 業務に効くものだけ、活用した場面つきで
- 志望動機
- 原則書かない。重複すると印象が薄まる
- 自己PR
- 1〜2本を具体的なエピソードつきで
- 本人希望
- 書かない
図:履歴書は「誰か」、職務経歴書は「何ができるか」を担当する
2枚の書類で同じ文章が並ぶと、読み手には「材料が少ない人」に見えます。役割を分けておけば、その事故は起きません。
考え方はシンプルです。履歴書は応募者が誰かを確定する書類、職務経歴書は何ができる人かを判断する書類。この線引きに沿って情報を振り分けます。
職歴欄は「事業所名と期間」だけで足りる
履歴書の職歴欄は1行ずつで構いません。施設の定員も担当業務も、職務経歴書側の仕事です。
ここを両方に書くと、履歴書の欄からあふれて字が小さくなり、かえって読みにくくなります。履歴書は余白を残すくらいがちょうどよい分量です。
志望動機は履歴書、自己PRは職務経歴書
志望動機を両方に書く必要はありません。履歴書に志望動機、職務経歴書に自己PRという配分が扱いやすくなります。
自己PRを書くときは、志望動機と同じ言葉を繰り返さないよう注意します。志望動機が「なぜこの施設か」なら、自己PRは「入職後に何ができるか」を担当させると、内容が重なりません。
資格は「取得年月」と「使った場面」で分ける
資格の一覧は履歴書側で足ります。職務経歴書では、応募先の業務に効く資格だけを選び、どの場面で使ったかを添えます。
たとえば喀痰吸引等研修なら「修了後、経管栄養の実施を担当」のように、資格と業務をつなげて書きます。これで一覧の再掲になりません。
書類全体でよくあるつまずきは、介護職の転職で失敗する原因でも別の角度から整理しています。
提出前に見直したい5点
- 施設概要が全事業所に入っているか:種別と定員が1行あるか
- 数字が具体か:夜勤回数・担当人数・訪問件数が入っているか
- 個人が特定される情報がないか:利用者の氏名・疾患名を書いていないか
- 履歴書と文章が重複していないか:志望動機と自己PRが同じでないか
- 面接で説明できるか:書いた数字の根拠を口頭で言えるか
その書き方は避けたい
- 施設名と期間だけの職歴:業務量も担当行為も伝わらない
- 前職への不満:人員不足・上司への評価は書かない
- できない行為を書く:入職後の配置で困るのは自分
- 全事業所を同じ分量で書く:直近を厚く、古い職歴は圧縮する
よくある質問
介護の職務経歴書について、応募前によく挙がる質問をまとめます。
Q1:介護の職務経歴書は何枚にまとめればいいですか?
A4サイズで1〜2枚が目安です。手書きの場合は、清書の失敗確率が上がるため1枚に収める前提で組み立てるほうが現実的です。1枚に収まらないときは、載せる事業所を直近3か所程度に絞り、古い職歴は「◯◯法人ほか2施設で介護職員として勤務」のように1行へ圧縮します。事業所を減らすのではなく、記述の厚みを直近に寄せるのがコツです。
Q2:介護の職務経歴書は手書きでもいいですか?
手書きでも問題ありません。求人票に指定があればそれに従います。指定がない場合は、履歴書だけ手書き、職務経歴書はパソコンという組み合わせが扱いやすい方法です。職務経歴書は箇条書きと項目立てが多く、レイアウトを調整できるパソコンのほうが読みやすく仕上がります。手書きにするなら、行数を数えてから鉛筆で下書きし、清書用紙は3枚以上用意しておきましょう。
Q3:職務経歴書に施設の定員や利用者数は書くべきですか?
書いたほうが伝わります。介護職員の配置は法令で下限が決まっており、たとえば特別養護老人ホームは入所者3人に1人以上、デイサービスは利用者15人までは介護職員1人以上です。そのため定員を1行書くだけで、採用側は現場の業務量をかなり正確に推定できます。数字が確認できないときは「約60名」のように範囲で書いて構いません。推測で正確な数字を装うのは避けましょう。
Q4:介護の職務経歴書に夜勤の回数は書いたほうがいいですか?
書いたほうがよく、さらに体制まで添えると精度が上がります。「夜勤 月4〜5回」で止めず、16時間夜勤か2交代か、1回の夜勤で何名を何人体制で見ていたかまで書きます。40名を2名で回す夜勤と、グループホームで9名を1人で見る夜勤では、求められる判断がまったく違うためです。夜勤ありの求人に応募する場合、この情報があると条件の擦り合わせが早くなります。
Q5:介護未経験・無資格でも職務経歴書は必要ですか?
必要です。介護の経験がなくても、前職の業務を介護の現場で使う言葉に置き換えて書きます。接客なら「利用者・家族への説明、要望の聞き取り」、事務なら「記録の正確さ、書類の管理」、運転経験があれば「送迎業務、経路と時間の管理」といった形です。動詞をそのまま残して翻訳すると、業界が変わっても意味が通ります。資格取得の予定があれば1行添えましょう。
Q6:転職回数が多いとき、介護の職務経歴書はどう書けばいいですか?
キャリア式で、職種や業務内容ごとにまとめる方法があります。「入所施設での経験」「在宅サービスでの経験」のように束ねると、回数の多さより経験の幅が前に出ます。短期間の在籍も省略はせず、記述の厚みだけを直近に寄せてください。省略すると履歴書の年月と食い違い、面接で説明が必要になります。
Q7:履歴書と職務経歴書で同じ内容を書いてもいいですか?
同じ文章の使い回しは避けます。読み手には「書ける材料が少ない人」に見えるためです。履歴書は応募者が誰かを確定する書類、職務経歴書は何ができる人かを判断する書類、と役割を分けます。職歴は履歴書では事業所名と期間の1行、職務経歴書では施設概要と担当業務まで。志望動機は履歴書、自己PRは職務経歴書、という配分が扱いやすくなります。
まとめ|施設概要と担当行為を書けば、職歴は読まれる
介護の職務経歴書の書き方を整理してきました。最後に要点を再掲します。
この記事のまとめ
- 職務経歴は「施設概要 → 担当業務 → 数字」の3ブロックを事業所ごとに繰り返す
- 施設概要が効くのは、配置基準と定員から業務量が読めるから(特養は入所者3人に1人以上、デイは利用者15人まで1人以上)
- 書く項目は施設種別で変わる。特養はユニット型か従来型か、デイは定員と送迎、訪問は1日の訪問件数と移動手段
- 数字には書く欄と書かない欄がある。利用者が特定される情報と施設の内部事情は書かない
- 経験が浅いときはできる範囲を正確に区切って書く。誇張より、指導計画が立てられる正確さが効く
- 手書きは行数を数えてから下書き。修正液は使わず書き直す前提で用紙を3枚用意する
- 履歴書とは役割を分け、志望動機は履歴書・自己PRは職務経歴書に振り分ける
職務経歴書は、文章のうまさを競う書類ではありません。どんな現場で、何を、どこまで担当したかを事実で示す書類です。施設概要の1行と担当行為の具体を足すだけで、同じ職歴が別物のように読まれます。
複数の施設を同じ基準で比べたいときや、応募先ごとに書き分けるのが負担なときは、条件を整理して提示してくれる転職支援サービスを併用すると効率が上がります。介護転職エージェントの比較もあわせてご覧ください。
職務経歴書に書く項目は、応募先の施設種別で決まります。定員・夜勤体制・送迎の有無を求人条件で確かめながら、書く材料をそろえてみてください。
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免責事項
※本記事は執筆時点で公表されている法令・厚生労働省等の公開情報をもとにした応募書類の書き方の整理であり、選考の結果・採用の合否を保証するものではありません。人員配置基準・研修制度・指定要件は制度改正により変更される場合があるため、応募時点の情報を各自でご確認ください。掲載の記載例はそのまま使うことを推奨するものではなく、ご自身の勤務先で確認できた事実に置き換えてご利用ください。個別の労務相談・雇用契約・応募条件に関する判断は、各都道府県の介護労働安定センター・ハローワーク・労働基準監督署・社会保険労務士など公的窓口・有資格者にご相談ください。

