介護の生活相談員とは|資格要件が自治体で違う理由と配置基準・介護職との仕事の違い

介護の生活相談員とは、利用者と家族の相談に応じ、施設とケアマネジャー・医療機関のあいだをつなぐ職種です。資格要件の原則は社会福祉法第19条第1項ですが、介護福祉士を認めるかどうかは自治体が決めます。東京都は介護の実務経験1年以上が必要、大阪府・徳島県・埼玉県は資格だけで要件を満たします。

この記事でわかること

  • 生活相談員という資格は存在しないこと、そのうえで法令が決めている資格要件の原則
  • 同じ介護福祉士でも自治体で条件が変わる仕組みと、実際に確認できた4都府県+1市の違い
  • 通所介護・特養・老健で配置基準が違うため、1日の仕事の中身が変わること
  • 介護職から移ったときに変わる6つのこと(身体介護の量・書類・家族対応・連絡調整・夜勤・給与)
  • 求人票の「兼務」をどう読むか、応募前に確認したい5点

公的情報源: 「社会福祉法」第19条第1項(参照)/「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第46号・参照)/「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号・参照)/厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(参照

生活相談員の募集は、施設種別によって求められる資格も勤務時間も変わります。実際の募集条件を並べて見ると、自分が応募できる範囲がつかめます。

結論を先に整理します

生活相談員を目指すときに最初に確かめるのは、自分の自治体が「介護福祉士」をどう扱っているかです。ここが分かれ道になります。

理由は、法令が原則しか決めていないから。条文は「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」と書いてあります。この「同等以上」の中身を決めるのは自治体です。

この記事の要点

  • 生活相談員は職種名であって資格名ではない。資格要件の原則は社会福祉法第19条第1項(社会福祉主事任用資格・社会福祉士など)
  • 「これと同等以上の能力を有すると認められる者」の中身は自治体が通知や要綱で定める。だから同じ資格でも扱いが変わる
  • 公開資料で確認できた範囲では、東京都は介護福祉士+実務経験1年以上(勤務日数180日以上)、大阪府・徳島県・埼玉県・水戸市は介護福祉士の資格だけで要件を満たす
  • 配置基準は施設種別ごとに別。通所介護は提供時間帯を通じて専従1以上特養は入所者100人に常勤1以上
  • 平均給与額は生活相談員・支援相談員が月35万3,950円、介護職員が月33万8,200円。差は月1万5,750円(厚労省・令和6年度)


目次

生活相談員とは|利用者と施設・外部のあいだをつなぐ職種

生活相談員とは、介護施設で利用者や家族の相談に応じ、施設の中と外をつなぐ役割を担う職種です。ソーシャルワーカーや相談員と呼ばれることもあります。

まず押さえたいのは、「生活相談員」という名前の資格試験は存在しないという点。あくまで人員基準の上に置かれた職種の名前です。だから「生活相談員の資格を取る」という道筋自体がありません。

介護職・生活相談員・ケアマネジャーの役割の違い

  • 利用者の生活を支える3つの職種。担当する「対象」が違う
    • 介護職員|対象は「利用者の身体と生活」食事・入浴・排泄・移乗の介助と見守り。人員基準は利用者3人に1人(常勤換算)。日々のケアそのものを担う
    • 生活相談員|対象は「利用者と施設・外部の関係」相談対応、利用開始・終了の手続き、契約、家族への連絡、ケアマネや医療機関との調整、会議への出席。事業所側の窓口になる
    • 介護支援専門員(ケアマネジャー)|対象は「ケアプラン」要介護者の課題を評価し、居宅サービス計画や施設サービス計画を作成・見直しする。試験と研修を経て登録する専門職

生活相談員は「ケアをする人」でも「プランを作る人」でもなく、その両者と外部をつなぐ位置にいます。

図:介護職員・生活相談員・介護支援専門員は、担当する対象がそれぞれ違う

主な仕事は「相談」「手続き」「調整」の3つ

生活相談員の業務は、事業所によって幅があります。ただ、どの施設でも共通するのは次の3つです。

  1. 相談対応(利用者・家族からの相談、苦情の受付)
  2. 手続き(利用開始・終了、契約、利用料の説明、見学対応)
  3. 調整(ケアマネジャー・医療機関・行政・地域との連絡調整、会議への出席)

これに加えて、記録や書類の作成、送迎の手配、稼働率の管理などが乗ります。現場によっては、介護業務にも入りながら相談員の仕事をこなす形になります。

ケアマネジャー・支援相談員・生活支援員との違い

名前の似た職種があるため、混同しやすいところです。整理しておきます。

似た名前の職種との違い

職種主な担当置かれる場所
生活相談員相談・手続き・調整特養、通所介護、短期入所、特定施設 など
支援相談員生活相談員とほぼ同じ役割介護老人保健施設(老健)
介護支援専門員ケアプランの作成・見直し居宅介護支援事業所、施設 など
生活支援員利用者の生活・就労の支援障害福祉サービス事業所

老健だけ「支援相談員」という別の名前になっているのは、根拠となる省令が違うためです。仕事の中身は生活相談員に近いものの、求人検索では別のキーワードになるので取りこぼしに注意してください。

ケアマネジャーとの違いは、担当する対象で考えると分かりやすくなります。ケアマネジャーが向き合うのはケアプラン、生活相談員が向き合うのは利用者と施設・外部の関係です。


生活相談員の資格要件|法令が決めているのは原則だけ

生活相談員の資格要件は、法令が原則を決め、例外の中身を自治体が決めるという二段構えになっています。ここを知らないまま求人を見ると、「なれるはず」「なれないはず」の両方で判断を誤ります。

生活相談員になれるかを確かめる順番

  • 「介護福祉士だから大丈夫」と決める前に、5つの段を上から順に確かめます。
  • 1法令の原則を見る社会福祉法第19条第1項各号(大学等での指定科目履修、都道府県知事の指定する養成機関・講習会の修了、社会福祉士、社会福祉事業従事者試験の合格 など)に当てはまるか
  • 2当てはまらなければ「同等以上」の枠を見る省令は「これと同等以上の能力を有すると認められる者」も可としている。ただし中身は条文に書かれていない
  • 3自治体の通知・要綱を引く「同等以上」の具体的な中身は、都道府県や、指定の権限をもつ市が定める。介護福祉士や介護支援専門員、実務経験が入ることがある
  • 4実務経験の条件を確かめる年数だけでなく勤務日数の下限がある自治体もある。算入できない業務が指定されていることもある
  • 5募集要項で施設種別を確かめる通知は施設種別ごとに出ていることがある。通所介護向けの通知が特養にそのまま当てはまるとは限らない

同じ資格でも、自治体と施設種別の組み合わせで結論が変わります。

図:法令の原則→「同等以上」の枠→自治体の通知→実務経験の条件→募集要項の順に確かめる

原則は社会福祉法第19条第1項

条文の出発点は、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項です。ここに「生活相談員は、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない」と書かれています。

通所介護や短期入所生活介護の生活相談員も、法令・通知によって同じ扱い。この点は東京都福祉保健局の通知(平成28年9月15日付28福保高介第875号)にも明記されています。

社会福祉法第19条第1項が挙げるもの(社会福祉主事任用資格)

内容
第1号大学・旧高等学校・旧専門学校で、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
第2号都道府県知事の指定する養成機関または講習会の課程を修了した者
第3号社会福祉士
第4号厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
第5号前各号と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

第5号には精神保健福祉士が含まれると、大阪府・徳島県がそれぞれのページで示しています。つまり法令の原則に「介護福祉士」は入っていない、というのが出発点です。

「同等以上」の中身を決めるのは自治体

省令の条文は「これと同等以上の能力を有すると認められる者」で止まっています。誰がそれに当たるのかは書かれていません。

そこを埋めるのが、都道府県や、指定の権限をもつ市が出す通知や要綱です。介護福祉士や介護支援専門員、あるいは一定年数の実務経験がここで加えられます。

結果として、同じ介護福祉士でも、自治体によって条件が変わるという状態が生まれます。「介護福祉士のみで生活相談員になれるか」に一律の答えがないのは、このためです。

資格そのものの取り方や、資格なしから介護福祉士までの道筋は別記事にまとめています。

介護の資格が転職で有利になる理由|資格なしから介護福祉士までの道筋


介護福祉士だけで生活相談員になれるか|自治体で条件が変わる

結論から書くと、資格だけで足りる自治体と、実務経験まで求める自治体があります。公開されている通知・要綱を実際に開いて確認できた範囲を、そのまま並べます。

介護福祉士の扱い(一次資料で確認できた自治体)

自治体介護福祉士の扱い対象として書かれている施設・事業所
東京都資格に加えて介護の実務経験が通算1年以上(勤務日数180日以上)通所介護・短期入所生活介護
大阪府資格のみで可(平成27年4月1日から)指定介護老人福祉施設
徳島県資格のみで可指定介護老人福祉施設・指定通所介護・指定短期入所生活介護 ほか
埼玉県資格のみで可介護老人福祉施設
水戸市資格のみで可通所介護・地域密着型通所介護

出典は次のとおりです。

東京都は「実務経験1年以上」と算入できない業務まで指定している

東京都の通知は、「同等以上の能力を有すると認められる者」の中身を4つ挙げています。介護福祉士はそのうちの1つで、条件つきです。

  1. 介護支援専門員(資格のみで可)
  2. 特別養護老人ホームで、介護の提供に係る計画の作成に1年以上(勤務日数180日以上)関わった者
  3. 老人福祉施設の施設長経験者(施設長として1年以上)
  4. 通所介護・特養・老健などでの介護の実務経験が通算1年以上(勤務日数180日以上)あり、介護福祉士の資格を持つ者

注目したいのは、4つ目に添えられた注意書きです。ここでいう実務経験とは「人員基準に定められ、利用者の処遇に直接関わる職種として勤務した経験」のこと。そのうえで管理者業務・送迎業務・調理業務・清掃業務は算入できないと明記されています。

つまり、送迎専任として1年働いても要件は満たしません。証明書類として在職証明書と介護福祉士登録証の写しが求められる点も、事前に知っておきたいところです。

資格だけで足りる自治体もある

一方、大阪府は「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者」に加えて、介護福祉士と介護支援専門員をそのまま認めています。実務経験の年数条件は書かれていません。

徳島県も同じ形です。「社会福祉主事任用資格と同等以上」として、介護支援専門員・介護福祉士・社会福祉事業に2年以上従事した者の3つを挙げています。

埼玉県の手引きも、介護老人福祉施設の生活相談員として社会福祉主事任用資格者・社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・介護福祉士を列挙。水戸市のQ&Aも同じ5つを示しています。

ここから読み取れること

  • 介護福祉士を認めている自治体は珍しくない。ただし条件の有無は自治体ごとに違う
  • 通知は施設種別ごとに出ていることがある。通所介護向けの通知が特養にそのまま当てはまるとは限らない
  • 実務経験を求める場合、年数だけでなく勤務日数の下限算入できない業務が指定されることがある

自分の自治体の要件を確かめる3ステップ

ここで確認できたのは5自治体だけです。全国の都道府県・市区町村を網羅したものではありません。自分の勤務予定地については、次の手順で確かめてください。

  1. 勤務予定地の自治体名と「生活相談員 資格要件」で公式サイトを検索し、通知や要綱の原文にあたる
  2. その通知が対象としている施設種別(通所介護なのか特養なのか)を確認する
  3. 見つからない場合は、応募先の事業所か自治体の介護保険担当課に直接確認する

事業所は指定を受ける立場なので、自分のところの要件を必ず把握しています。応募前に「私の資格で生活相談員として配置できますか」と聞くのがいちばん確実です。


施設種別で配置基準が違う|同じ生活相談員でも1日の中身が変わる

生活相談員という同じ職名でも、働く施設が変わると1日の過ごし方が別物になります。理由は、人員基準の書き方そのものが施設種別で違うからです。

配置基準の違いと、1日の仕事の中身

通所介護(デイサービス)
配置基準
提供日ごとに、提供時間帯に専従の生活相談員が勤務した時間数の合計÷提供時間数が1以上
常勤要件
生活相談員または介護職員のうち1人以上が常勤
1日の中心
その日の利用者の受け入れ、家族への連絡、送迎の調整、見学対応
特徴
営業日は必ず誰かが相談員として在席している必要がある
特別養護老人ホーム
配置基準
入所者の数が100またはその端数を増すごとに1以上
常勤要件
生活相談員は常勤でなければならない
1日の中心
入退所の手続き、待機者の調整、家族対応、入院・看取り時の連絡
特徴
定員100人の施設なら1人で全入所者を担当することがある
介護老人保健施設
職名
生活相談員ではなく「支援相談員」
配置基準
1以上(入所者100超なら常勤1名+常勤換算で超過分を100で除した数以上)
1日の中心
在宅復帰に向けた調整、病院・居宅介護支援事業所との連携
特徴
入所期間が区切られるため、次の行き先の調整が続く

図:配置基準の書き方が施設種別で違うため、同じ生活相談員でも1日の中身が変わる

施設種別ごとの生活相談員の配置基準(省令の規定)

施設・事業所配置基準根拠条文
通所介護提供時間帯を通じて専従1以上(時間数の合計÷提供時間数が1以上)平成11年厚生省令第37号 第93条第1項第1号
短期入所生活介護常勤換算で利用者100人に1以上同 第121条第1項第2号
特定施設入居者生活介護常勤換算で利用者100人に1人以上同 第175条第1項第1号
指定介護老人福祉施設(特養)入所者100人に1以上・常勤平成11年厚生省令第39号 第2条
地域密着型特別養護老人ホーム1以上・常勤平成11年厚生省令第46号 第56条
介護老人保健施設(支援相談員)1以上(入所者100人超は上乗せあり)平成11年厚生省令第40号 第2条第1項第4号

通所介護は「提供時間帯を通じて専従1以上」

通所介護の基準がいちばん厳しい書き方をしています。サービスの提供日ごとに、提供している時間帯に生活相談員が勤務した時間数の合計を、提供時間数で割った数が1以上でなければなりません。

この基準の効果は、実務にはっきり出ます。営業日は必ず誰かが相談員として在席していなければならないということです。

生活相談員が1名しかいない事業所では、有給休暇の日をどうするかという問題が生じます。水戸市のQ&Aは、ここでいう勤務時間を実労働時間とし、有給休暇の時間は含められないとしています。そのため不在の日は、別の従業者を生活相談員として配置する等の措置が必要です。

一方で、平成27年度の介護報酬改定で専従の考え方は緩められました。平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)の問48・問49を見ると、利用者宅の訪問も勤務時間として認められます。地域の町内会・自治会・ボランティア団体と連携し、社会資源を発掘・活用する時間も同じ扱い。ただし活動の記録を残す必要があります。

つまり通所介護の生活相談員は、事業所の中にいるだけの仕事ではないという設計になっています。

特養は「入所者100人に1以上・常勤」

特別養護老人ホームは、入所者の数が100またはその端数を増すごとに1以上。しかも常勤でなければなりません。

定員100人の施設なら生活相談員は1人でよい計算です。その1人が、入退所の手続き、待機者の調整、家族への連絡、入院時や看取り時の対応まで担うことになります。

通所介護のように「その日その日」で完結せず、月単位・年単位の入退所の流れを管理する仕事になる、と考えると差が分かりやすくなります。

なお、定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホームでは「1以上・常勤」。人数が少ないぶん、管理者や他業務との兼務が現実的な選択肢になります。

特養での働き方そのものは、別記事で仕事内容と給与から整理しています。

特別養護老人ホームへの転職|仕事内容・給与・向き不向き

老健は「支援相談員」という別の名前

介護老人保健施設では、生活相談員ではなく支援相談員が置かれます。配置基準は1以上で、入所者が100人を超える場合は常勤1名に加えて常勤換算で超過分を100で除した数以上です。

老健は在宅復帰を目的とする施設なので、支援相談員の仕事も「次の行き先をどう作るか」に寄ります。病院や居宅介護支援事業所とのやり取りが多くなる点が、特養との違いです。

デイサービスの1日の流れや夜勤の有無は、通所介護の記事で詳しく整理しています。

デイサービスへの転職|通所介護の仕事内容と夜勤なしの実態

同じ「生活相談員」でも、通所介護と特養では求められる資格も勤務時間も変わります。募集条件を並べて見比べると、自分の資格で応募できる施設種別がはっきりします。

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介護職から生活相談員になると実際に変わること

職種が変わると、1日の使い方も評価のされ方も変わります。変わるのは6つです。

介護職員と生活相談員で変わること

項目介護職員生活相談員
身体介護業務の中心減る(ただし小規模事業所では兼務で残る)
記録・書類ケース記録が中心契約書、重要事項説明書、会議録など種類が増える
家族対応送迎時や面会時の会話苦情や利用料の説明を含む一次窓口
外部との連絡調整少ないケアマネ・医療機関・行政・地域と日常的に発生
夜勤施設種別による原則日勤。ただし小規模施設では入ることがある
給与月33万8,200円(平均)月35万3,950円(平均)

給与は厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」第70表(月給・常勤、処遇改善加算を取得している事業所)の数値です。

給与の差は月1万5,750円

同調査では、生活相談員・支援相談員(常勤)の平均給与額が月35万3,950円、介護職員(常勤)が月33万8,200円でした。差は月1万5,750円で、単純に12倍すると年18万9,000円になります。

ただし、この差をそのまま「職種を変えれば上がる金額」と読むのは危険です。同じ調査で、生活相談員・支援相談員の平均勤続年数は11.5年、介護職員は9.5年。勤続の長さの差が給与に含まれています。

また、夜勤手当がなくなる点も見落とせません。夜勤に入っていた人が日勤中心の生活相談員に移ると、基本給が上がっても手取りが下がることがあります

参考までに、同調査の介護支援専門員(常勤)は月37万5,410円でした。施設種別ごとの給与差は別記事で整理しています。

介護職の給与・年収の平均と施設種別の差

夜勤がなくなるとは限らない

生活相談員は日勤中心と説明されることが多い職種です。実際、配置基準の書き方も日中のサービス提供を前提にしています。

ただし、人員に余裕のない施設では夜勤や宿直に入るケースがあります。求人票に「夜勤あり(月◯回)」と書かれていれば、相談員の業務に加えて夜勤が乗る前提だと読むべきです。

求人票の「兼務」をどう読むか

小規模な事業所では、生活相談員が単独のポストとして立っていないことがよくあります。兼務は制度上も認められている場面があり、たとえば埼玉県の手引きは、特養の管理者について「管理上支障がない場合は生活相談員との兼務可」と記しています。

問題は、兼務の中身が求人票からは読み取れない点です。次の3つを分けて確認してください。

  1. 何と兼務するのか(介護職員/管理者/機能訓練の補助/送迎)
  2. 兼務の時間配分(相談員として何時間、介護職員として何時間)
  3. その配分が人員基準を満たす形になっているか

水戸市のQ&Aは、生活相談員が不在の日に別の介護職員を生活相談員として配置した場合の扱いを示しています。加算の割合の算出では生活相談員として従事した時間を含めず、介護職員として従事した時間のみで計算する。時間は職種ごとに分けて管理される、ということです。

面接では「1日のうち、相談員として動く時間は何時間くらいですか」と具体的に聞くのが有効です。ここが曖昧なまま入職すると、相談業務が残業に回る形になりやすくなります。


生活相談員に向いている人・慎重に考えたい人と、求人票で確認したい5点

向き不向きは性格ではなく、業務内容と自分の希望が合うかで判断します。

生活相談員に向いている人

  • 人と人のあいだを整理するのが苦にならない:家族・ケアマネ・医療機関の言い分をつなぐのが日常業務
  • 書類と締め切りを扱うのが得意:契約書、会議録、行政への提出物が定期的に発生する
  • 身体的な負担を減らしたい:兼務がなければ、身体介護の反復量は減る
  • 施設全体の動きを見たい:入退所や稼働率など、ユニットの外側の情報に触れられる

慎重に考えたい人

  • ケアの技術を磨き続けたい:身体介護から離れると、現場の勘が鈍ることがある
  • 夜勤手当を含めた収入を維持したい:日勤中心に移ると手取りが下がる場合がある
  • 苦情対応が苦痛になりやすい:利用者・家族の不満を最初に受ける立場になる
  • 勤務地を動かす予定がある:自治体によって資格要件が違うため、県をまたぐと条件が変わる

応募前に確認したい5点

  1. 自分の資格でその自治体の要件を満たすか(実務経験の条件の有無まで)
  2. 施設種別と定員(配置基準が変わり、担当する人数も変わる)
  3. 生活相談員が何名配置されているか(1名体制なら休みの日の代替が課題になる)
  4. 兼務の有無と時間配分(介護職員との兼務なら実質の業務量が変わる)
  5. 夜勤・宿直の有無と、それに伴う手当

複数の施設を同じ基準で比べたいときは、条件を整理して提示してくれる転職支援サービスを併用すると効率が上がります。

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よくある質問

Q1:生活相談員とはどんな仕事ですか?

介護施設で利用者や家族の相談に応じ、施設と外部をつなぐ職種です。相談対応、利用開始・終了の手続き、契約、ケアマネジャーや医療機関との連絡調整、会議への出席が主な業務になります。「生活相談員」という名前の資格試験は存在せず、人員基準の上に置かれた職種の名前です。介護老人保健施設では「支援相談員」という別の名前で呼ばれます。

Q2:介護福祉士のみで生活相談員になれますか?

自治体によって変わります。法令の原則は社会福祉法第19条第1項各号(社会福祉主事任用資格など)で、そこに介護福祉士は含まれていません。ただし省令が「これと同等以上の能力を有すると認められる者」も可としており、その中身を自治体が定めます。大阪府・徳島県・埼玉県・水戸市は介護福祉士の資格だけで要件を満たしますが、東京都は介護の実務経験が通算1年以上(勤務日数180日以上)必要です。勤務予定地の通知を必ず確認してください。

Q3:通所介護の生活相談員の配置基準はどうなっていますか?

根拠は指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条第1項第1号。提供日ごとに、サービスを提供している時間帯に専従の生活相談員が勤務した時間数の合計を提供時間数で割った数が1以上と定められています。つまり営業日は常に相談員が在席している必要があります。同条第6項では、生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤とされています。

Q4:生活相談員の給料は介護職より高いですか?

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」第70表を見ると、生活相談員・支援相談員の平均給与額は月35万3,950円。介護職員は月33万8,200円で、差は月1万5,750円です(月給・常勤、処遇改善加算を取得している事業所)。ただし同調査の平均勤続年数は生活相談員・支援相談員11.5年、介護職員9.5年で、勤続の差も含まれた数値になります。夜勤手当がなくなると手取りが下がる場合もあります。

Q5:生活相談員は介護業務もするのですか?

事業所の規模によります。小規模な事業所では、介護職員や管理者と兼務になることが珍しくありません。制度上も、たとえば特別養護老人ホームの管理者は管理上支障がない場合に生活相談員と兼務できるとされています。求人票に「兼務」とあるときは、何と兼務するのか・相談員として何時間動くのかを面接で確認することが有効です。勤務時間は職種ごとに分けて管理されます。

Q6:生活相談員とケアマネジャーの違いは何ですか?

担当する対象が違います。介護支援専門員(ケアマネジャー)はケアプランの作成と見直しを担い、生活相談員は利用者・家族と施設・外部のあいだの調整を担います。生活相談員は職種名で試験がないのに対し、介護支援専門員は都道府県の試験と研修を経て登録する専門職です。自治体によっては、介護支援専門員の資格が生活相談員の要件として認められています。


まとめ:資格の名前ではなく、自治体の通知と配置基準で判断する

生活相談員を目指すかどうかを決めるための材料を整理します。

この記事のまとめ

  • 生活相談員は職種名であって資格名ではない。原則は社会福祉法第19条第1項各号、または「これと同等以上の能力を有すると認められる者」
  • 「同等以上」の中身は自治体が通知・要綱で定めるため、同じ介護福祉士でも扱いが変わる
  • 確認できた範囲では、東京都は実務経験1年以上(勤務日数180日以上)、大阪府・徳島県・埼玉県・水戸市は資格のみで要件を満たす
  • 配置基準は通所介護=提供時間帯を通じて専従1以上特養=入所者100人に常勤1以上老健=支援相談員1以上。1日の仕事の中身がここで変わる
  • 介護職から移ると、身体介護が減り書類と外部調整が増える。給与差は月1万5,750円だが、勤続年数の差と夜勤手当の消失を差し引いて考える

「生活相談員になれるかどうか」は、資格証を見ても答えが出ません。自治体の通知と、応募先の施設種別を組み合わせて初めて決まります。まず自分の勤務予定地の要件を引き、そのうえで募集条件を見比べてください。

自分の資格でどの施設種別に応募できるかは、実際の募集条件を並べるのがいちばん早い方法です。通える範囲の生活相談員の求人から確認してみてください。

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免責事項

※本記事は執筆時点で公表されている法令・厚生労働省の統計・各自治体の通知等の公開情報をもとにした整理であり、個々の事業所の人員配置・勤務体制・給与水準・採用条件とは異なります。生活相談員の資格要件は自治体ごとに定められ、通知の改正により変更される場合があります。本記事で挙げた自治体は公開資料で確認できた一部であり、全国の要件を網羅したものではありません。実際の可否は、勤務予定地の都道府県・市区町村の介護保険担当課、または応募先の事業所へ必ずご確認ください。個別の労務相談・雇用契約に関する疑問などは、各都道府県の介護労働安定センター・労働基準監督署・社会保険労務士など有資格者・公的窓口にご相談ください。


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この記事を書いた人

Nakajimaです。高校を出てすぐ特別養護老人ホームに入り、そこから15年、特養10年・グループホーム3年・訪問介護2年を経て、いまはデイサービスで働いています。介護の4つの現場を全部歩いてきました。

働いて分かったのは、経験年数を重ねることより「施設のタイプを変えること」のほうが年収が上がりやすい、という現実でした。処遇改善加算が実際の給与にどう反映されるかも、勤めた4か所でずいぶん違います。私自身、転職を3回して、そのたびに手取りが変わっていきました。

いまはケアマネジャーの受験勉強をしながら、20歳の自分に教えたかったこと、転職に迷った30歳の自分に渡したかった情報を書いています。厚労省の実態調査とも突き合わせているので、施設選びの参考にしてください。

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