ケアマネへの転職先は、居宅介護支援事業所・介護保険施設・特定施設・グループホーム・地域包括支援センターの5つ。求人票に出る職名は職場ごとに変わります。平均給与額は介護支援専門員が月37万5,410円、介護職員が月33万8,200円。差の実体は手当ではなく基本給です。
この記事でわかること
- ケアマネの転職先は5種類あり、求人票に出る職名が職場ごとに違うこと(検索で取りこぼす原因)
- 居宅の担当件数44人が何を根拠にした数字か、49人になる条件は何か
- 介護職から移ると変わる6つのこと(対象・時間の使い方・書類・外部調整・夜勤・給与)
- 給与差月3万7,210円の中身。手当はほぼ同額で、差は基本給と勤続年数にあること
- 実務が無い状態(未経験)の扱い、志望動機で書く軸、入ってから分かる落差4つと利用者の引き継ぎ
公的情報源: 「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号・参照)/「介護保険法施行規則」第140条の66(参照)/「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(参照)/「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(参照)/厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(参照)
同じ「ケアマネ」の募集でも、職場によって職名も担当する人数も変わります。実際の募集条件を並べて見ると、自分が応募できる範囲が早くつかめます。
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はじめに押さえたい2点
ケアマネへの転職でつまずきやすいのは、「ケアマネ」で求人を探しても職場の半分が出てこない点です。特定施設やグループホームでは、職名が「計画作成担当者」になります。
もうひとつは給与の読み方。平均で見れば介護職員より上ですが、その差は夜勤手当が置き換わった結果ではありません。中身を分けて見ないと、手取りの見通しを外します。
この記事の要点
- 転職先は居宅・介護保険施設・特定施設・グループホーム・地域包括の5つ。職名は「介護支援専門員」「計画作成担当者」「主任介護支援専門員」に分かれる
- 居宅の人員基準は事業所ごとに常勤1人以上、利用者44人ごとに1人。所定のシステム利用+事務職員の配置で49人ごとに1人(省令第38号 第2条)
- 施設のケアマネは入所者100人に1を標準。1施設に1人という配置が一般的で、求人はまとまって出ない
- 地域包括は主任介護支援専門員の枠が原則1人。第1号被保険者おおむね3,000〜6,000人ごとに3職種を各1人置く設計(施行規則第140条の66)
- 平均給与額は介護支援専門員月37万5,410円/介護職員月33万8,200円。ただし手当額はほぼ同じで、平均年齢は5.2歳、勤続年数は3.4年の開きがある
ケアマネの転職先は5つ|求人票に出る職名が職場ごとに変わる
ケアマネの働き口は、大きく5種類に分かれます。最初に押さえるのは「職名」です。ここを知らないと、求人検索の入口で候補を落とします。
理由は、根拠になる省令が職場ごとに別だから。省令ごとに使う職名が違うので、同じ仕事でも募集タイトルが変わります。
たとえば介護付き有料老人ホームの募集は「計画作成担当者」。ケアプランを書く仕事なのに、「ケアマネ」の語では引っかからないことがあります。
居宅・施設・地域包括で何が変わるか
- 職名
- 介護支援専門員
- 担当する人
- 在宅で暮らす要介護者。利用者44人ごとに1人が基準
- 1日の中心
- 訪問・モニタリング・給付管理・サービス事業者との調整
- 求人の出方
- 件数がいちばん多い。1人事業所から10人超まで規模の幅が大きい
- 職名
- 介護支援専門員
- 担当する人
- 入所者。入所者100人に1を標準
- 1日の中心
- 施設サービス計画の作成、サービス担当者会議、入退所の調整
- 求人の出方
- 1施設1人が多く、欠員が出たときだけ。兼務の募集も混じる
- 職名
- 主任介護支援専門員(3職種のうち1枠)
- 担当する人
- 担当区域の高齢者全体。総合相談・権利擁護・ケアマネ支援
- 1日の中心
- 相談対応、地域のケアマネへの助言、関係機関との連携
- 求人の出方
- 枠が原則1人のため空きが出にくい。主任研修の修了が前提になる
職名・担当する人・枠の数がすべて違うため、同じ「ケアマネの転職」でも探し方が変わります。
図:居宅・施設・地域包括はケアマネの職名と枠の数がそれぞれ違う
ケアマネが配置される5つの職場と根拠条文
| 職場 | 求人票に出る職名 | 配置基準 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援事業所 | 介護支援専門員 | 常勤1人以上・利用者44人ごとに1 | 平成11年厚生省令第38号 第2条 |
| 特別養護老人ホーム | 介護支援専門員 | 1以上(入所者100人に1を標準)・専従常勤 | 平成11年厚生省令第39号 第2条 |
| 介護老人保健施設 | 介護支援専門員 | 1以上(入所者100人に1を標準) | 平成11年厚生省令第40号 第2条 |
| 特定施設(介護付き有料等) | 計画作成担当者 | 1以上(利用者100人に1を標準)・専従の介護支援専門員 | 平成11年厚生省令第37号 第175条 |
| グループホーム | 計画作成担当者 | 事業所ごとに配置。うち1人以上は介護支援専門員 | 平成18年厚生労働省令第34号 第90条 |
| 地域包括支援センター | 主任介護支援専門員 | 3職種を各1人(第1号被保険者おおむね3,000〜6,000人ごと) | 介護保険法施行規則 第140条の66 |
居宅は「44人ごとに1人」。49人になる条件がある
居宅介護支援事業所の人員基準は二段構えです。まず事業所ごとに、常勤の介護支援専門員を1人以上置くこと。そのうえで人数の基準が乗ります。
条文はこうです。員数の基準は「利用者の数が四十四又はその端数を増すごとに一とする」(平成11年厚生省令第38号 第2条第2項)。よく見る「44件」はこの数字が出どころです。
続く第3項に緩和規定があります。国民健康保険中央会が運用する居宅サービス計画の情報共有システムを利用し、かつ事務職員を配置している場合は「49又はその端数を増すごとに一」。
つまり49人まで担当できるのは、システムと事務職員の両方がそろった事業所だけ。求人票に「担当49件まで可」と書いてあれば、事務職員がいる体制だと読めます。
もうひとつ見落とされやすいのが、介護予防支援の受託分です。同じ第2項に、受託して行う介護予防支援の利用者数には3分の1を乗じて加算すると定めがあります。
要支援の人を12人受け持てば、計算上は4人分。面接では「要介護の担当件数」だけでなく、予防の受託件数もあわせて確認したいところです。
施設のケアマネは「入所者100人に1を標準」=1施設に1人が基本
特別養護老人ホームの人員基準では、介護支援専門員は1以上、入所者100人ごとに1を標準とします(平成11年厚生省令第39号 第2条第1項第6号)。介護老人保健施設も同じ書き方です。
定員100人の施設なら1人。定員80人でも1人です。施設のケアマネは席が1つで、そこが埋まっている限り募集は出ません。
なお特養の介護支援専門員は専従の常勤が原則。ただし同条第9項に、入所者の処遇に支障がない場合は他の職務に従事できるという但し書きがあります。兼務の募集が出るのはここが根拠です。
特養の働き方そのものは、仕事内容と給与から別記事で整理しています。
特定施設とグループホームは職名が「計画作成担当者」
介護付き有料老人ホームなどの特定施設では、置くべき職種の名前が「計画作成担当者」になります。1以上、利用者100人ごとに1を標準(平成11年厚生省令第37号 第175条第1項第4号)。
この計画作成担当者は「専らその職務に従事する介護支援専門員」と定められています(同条第7項)。名前が違うだけで、求められる資格は同じです。
グループホームは少し複雑です。計画作成担当者を事業所ごとに置き、そのうち1人以上を介護支援専門員に充てる(平成18年厚生労働省令第34号 第90条第5項・第7項)。
裏を返すと、残りの計画作成担当者は介護支援専門員でなくてよい。生活相談員や支援相談員などの実務経験者を充てられると同条第10項が定めています。
グループホームの募集で「計画作成担当者(ケアマネ資格必須)」と「(資格不問)」が混在するのは、この条文の構造によるものです。
地域包括は枠が原則1人。空きが出にくい構造
地域包括支援センターは、担当区域の第1号被保険者がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、専従・常勤の職員を3人置く設計です(介護保険法施行規則 第140条の66第1号イ)。
内訳は、保健師その他これに準ずる者が1人、社会福祉士その他これに準ずる者が1人、そして主任介護支援専門員その他これに準ずる者が1人。
つまりケアマネの枠は原則1つ。しかも主任介護支援専門員研修を修了した人が対象で、修了から5年ごとに更新研修が要ります。
「地域包括に行きたい」という希望が数年計画になるのは、ここが理由です。まず居宅で経験を積み、主任研修の受講要件を満たす順番になります。
介護職からケアマネに移ると変わること
職種が変わると、1日の使い方も評価のされ方も変わります。変わるのは6つです。
いちばん大きいのは、向き合う対象が「利用者の身体」から「利用者の生活の設計」に移る点。手を動かす仕事から、決めて調整する仕事へ移動します。
介護職からケアマネに移ると変わる6つのこと
- 「担当する対象」が変わると、時間・書類・人間関係・給与の全部が連動して変わります
- 1. 対象|身体 → 生活の設計介助の手を動かす仕事から、課題を評価してサービスを組み立てる仕事へ。成果が出るまでの時間が長くなる
- 2. 時間の使い方|シフト → 予定表フロアの時間割ではなく、訪問・会議・記録を自分で組む。動かせる自由と、埋まりすぎる危うさが同時に来る
- 3. 書類|ケース記録 → 計画と給付管理居宅サービス計画、サービス担当者会議の記録、モニタリング記録、給付管理。締め切りが月次で固定される
- 4. 外部との調整|少ない → 日常サービス事業者・医療機関・家族・行政と毎日やり取りする。電話と調整が仕事時間の相当部分を占める
- 5. 夜勤|あり → 原則なし居宅は日勤中心。ただし施設ケアマネは兼務で夜勤に入る募集もある
- 6. 給与|基本給が上がる平均給与額は月3万7,210円の差。ただし手当はほぼ同額で、勤続年数の差も含まれる
「体は楽になるが、頭と締め切りは重くなる」と考えると差が読みやすくなります。
図:介護職からケアマネへ移ると、対象・時間・書類・調整・夜勤・給与の6つが連動して変わる
介護職員と介護支援専門員の比較(常勤・月給/令和6年9月)
| 項目 | 介護職員 | 介護支援専門員 |
|---|---|---|
| 平均給与額 | 33万8,200円 | 37万5,410円 |
| 平均基本給等 | 19万2,660円 | 22万4,280円 |
| 平均手当額 | 9万7,980円 | 9万5,700円 |
| 平均年齢 | 45.7歳 | 50.9歳 |
| 平均勤続年数 | 9.5年 | 12.9年 |
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」統計表第70表(介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所・月給・常勤)の数値です。介護職員の月33万8,200円は、当サイトの給与記事でも基準にしている値です。
給与差3万7,210円の中身を分ける
差額だけ見ると月3万7,210円、単純に12倍して年44万6,520円です。ただし、この数字を「職種を変えれば上がる金額」と読むと外します。
同じ表を項目ごとに割ると、内訳がはっきりします。手当額はほぼ同じで、介護職員9万7,980円に対して介護支援専門員は9万5,700円。むしろ2,280円少ない側です。
差が生まれているのは基本給です。19万2,660円と22万4,280円で、開きは3万1,620円。給与差の大半はここから来ています。
つまり「夜勤手当が役職手当に置き換わって増える」構図ではありません。基本給の水準そのものが違う職種、と読むのが実態に近い形です。
もうひとつ、年齢と勤続年数の差も見逃せません。介護支援専門員は平均50.9歳・勤続12.9年、介護職員は45.7歳・勤続9.5年。5.2歳・3.4年ぶんの積み上げが平均値に含まれています。
参考までに、同じ表の生活相談員・支援相談員は月35万3,950円でした。介護職からの職種転換先としては、ケアマネと並ぶ選択肢になります。
夜勤がなくなると手取りはどう動くか
居宅のケアマネは日勤中心です。夜勤に入っていた人が移ると、月の夜勤手当がそのまま消えます。
平均値では手当額が横並びに見えても、それは処遇改善加算や役職手当を含んだ全体の平均。夜勤回数が多かった人ほど、個人としての落差は大きくなります。
判断材料は、いま自分の給与明細で夜勤手当が何円かという1点です。そこを求人票の基本給と並べてから、上がるか下がるかを見ます。
施設の給与水準や施設種別の差は、別記事で整理しています。
給与が上がるかどうかは、いまの夜勤手当と応募先の基本給を並べれば見えてきます。まずは通える範囲の募集条件を集めて、基本給の水準を確かめてみてください。
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実務が無い状態での応募はどう見られるか
結論から書くと、採用側が見ているのは「ケアマネの実務経験」ではなく「1人で回せる体制があるか」です。ここを外すと、応募先の選び方を誤ります。
資格を取ったばかりで担当を持った経験がない状態は、求人票では「未経験可」「実務未経験歓迎」と表現されます。ただし、この表記が出る職場とほとんど出ない職場に分かれます。
理由は配置基準にあります。居宅は事業所ごとに常勤1人以上で、あとは利用者44人ごとに1人ずつ増える構造。1人事業所は、教える人がいないということでもあります。
実務未経験の募集が出やすい職場・出にくい職場
| 職場のタイプ | 未経験の募集 | 理由 |
|---|---|---|
| 居宅(ケアマネ複数名) | 出やすい | 先輩が同席・同行でき、担当を段階的に渡せる |
| 居宅(1人事業所) | 出にくい | 教える人がいない。着任日から単独で回す前提になる |
| 特養・老健 | 条件つき | 席が1つ。前任からの引き継ぎ期間があるかで変わる |
| 特定施設・グループホーム | 出やすいことがある | 介護職員との兼務で少しずつ移行する形を取れる |
| 地域包括 | 出ない | 主任介護支援専門員が要件。研修の修了が前提 |
介護職の経験は「どこが」評価されるか
介護現場の経験は、ケアマネの仕事の中でそのまま使える部分と、使えない部分に分かれます。切り分けて話せると、面接での説明が具体的になります。
- 状態の見立て:食事・排泄・移乗の様子から生活の変化を読む力は、モニタリングで直接使える
- サービスの実像を知っている:訪問介護やデイの現場が分かると、計画が机上で終わらない
- 事業者との共通言語:シフトや人員の事情を知っている相手として話が早い
- 家族対応の下地:送迎時や面会での説明経験は、初回面接の場で効く
- 給付管理の実務:介護職では触れない領域。着任後に覚える前提で考える
- 制度の横断知識:自分がいた施設種別の外側は、あらためて拾い直しが要る
- 予定を自分で組む働き方:シフトで決まっていた時間割を自分で設計する必要がある
- 1人で判断する場面の多さ:現場のように、その場で相談できる同僚が隣にいるとは限らない
なお、ケアマネの試験を受けるには実務経験の要件があります。要件の数え方は別テーマなので、ここでは扱いません。資格ルート全体の見取り図は別記事にまとめています。
介護の資格が転職で有利になる理由|資格なしから介護福祉士までの道筋
志望動機で書く軸|ケアマネの募集で見られている3点
ケアマネの募集で通る志望動機には、共通する形があります。「なぜケアマネか」ではなく「なぜこの事業所のケアマネか」に答えていることです。
理由は、配置の仕組みにあります。居宅も施設も、席の数が基準で決まっている職種。事業所は「その席を任せられるか」を見ています。
- 担当件数と体制への理解:担当できる人数、事務職員の有無、要支援の受託件数まで踏まえて志望していると示す
- 介護現場の経験の使い方:どの施設種別で何を見てきたかを、モニタリングや計画作成に結びつけて書く
- 調整の仕事への向き合い方:家族・事業者・医療機関との間に立つ業務を、負担ではなく担当したい仕事として書く
避けたいのは、待遇と人間関係を理由の中心に置く書き方です。「夜勤がないから」「今の職場が合わないから」は、そのまま書くと辞める理由の説明で終わります。
同じ内容でも、「日勤で腰を据えて長く担当を持ちたい」と言い換えれば、続けられる根拠の話になります。
例文そのものは別記事にまとめています。属性別・施設タイプ別に用意しているので、書き出しに迷ったら組み合わせて使ってください。
面接で実際に聞かれる質問と答え方は、別記事で整理しています。
職務経歴書の書き方も、担当した施設種別や利用者数の書き分けで印象が変わります。
転職失敗を防ぐ|入ってから分かる4つの落差と、利用者の引き継ぎ
ケアマネの転職でつまずく原因は、求人票に書かれない条件に集中しています。担当件数・書類量・体制・給与の4つです。
順番に見ます。そのうえで、退職時にいちばん気を遣う「利用者の引き継ぎ」を整理します。
応募前に確かめる順番
- 「ケアマネの求人だから」で決めず、5つの段を上から順に確かめます。
- 1職場の種別と職名を確かめる居宅か、施設か、特定施設・グループホーム(計画作成担当者)か、地域包括か。根拠になる省令が違うので、配置基準も担当する相手も変わる
- 2ケアマネが何人いるかを聞く1人事業所なら着任日から単独。複数名なら同行と引き継ぎの期間を取れる。教わりながら始めたいなら、ここが最優先
- 3担当件数と内訳を聞く要介護の件数だけでなく、受託している介護予防支援の件数も。3分の1を乗じて加算される決まりなので、実務量は表示より重くなりやすい
- 4事務職員とシステムの有無を聞く所定のシステム利用と事務職員の配置がそろえば基準は49人ごとに1人。逆に言えば、49件想定の事業所は事務体制がある前提になる
- 5基本給と手当を分けて比べるいまの夜勤手当が何円か、応募先の基本給がいくらか。総支給の比較では手取りの動きを読み違える
1から順に確かめると、求人票に書かれていない条件がひとつずつ埋まります。
図:職場の種別→人数→担当件数→事務体制→給与の順に確かめる
落差1:担当件数は「上限」であって「目安」ではない
人員基準の44人は、1人が担当できる人数の基準です。事業所によっては、この数字を運用目標として扱います。
面接で聞くべきなのは平均ではなく、いま在籍している人の実数です。「1人あたり何件ですか」ではなく「今いる方は何件持っていますか」と聞くと、答えが具体的になります。
あわせて、受託している介護予防支援の件数も確認します。省令上は3分の1を乗じて加算する扱いですが、訪問や記録の手間が3分の1になるわけではありません。
落差2:書類の締め切りが月次で固定される
介護職の記録は、その日のうちに書けば終わります。ケアマネの書類は違います。給付管理が月末月初に固定され、動かせません。
モニタリングは毎月の訪問が前提。担当が増えるほど、月末に向けて訪問と記録が積み上がります。
「残業が少ない」という求人票の記載は、月平均で見た数字であることが多いもの。月内のどこに山が来るかまで聞いておくと、生活の設計を誤りません。
落差3:1人事業所は相談相手がいない
居宅の人員基準は、事業所ごとに常勤1人以上から始まります。ケアマネが自分1人という事業所は珍しくありません。
判断に迷ったとき、その場で相談できる人が社内にいない状態になります。地域包括支援センターに助言を求める仕組みはありますが、日常の細かい確認とは別です。
未経験に近い状態で移るなら、複数名の事業所を優先する。この1点で、初年度の負荷はかなり変わります。
落差4:管理者になれる時期が決まっている
居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員でなければなりません(平成11年厚生省令第38号 第3条第2項)。
ただし、主任介護支援専門員の確保が著しく困難であるなどやむを得ない理由がある場合は、主任でない介護支援専門員を管理者にできる但し書きがあります。
さらに同省令の附則には、令和9年3月31日までの間は主任でない介護支援専門員を管理者にできるという経過措置が置かれています。
「将来は管理者に」と考えて応募するなら、主任研修の受講要件を満たすまでの年数を、転職時点で逆算しておく必要があります。
利用者は事業所と契約している|引き継ぎと「引き抜き」の線引き
退職時にいちばん気を遣うのが、担当していた利用者の扱いです。前提として押さえたいのは、契約の相手は担当者個人ではなく事業所という点。
省令は、指定居宅介護支援の提供開始にあたり、事業者が利用申込者やその家族に重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得なければならないと定めています(平成11年厚生省令第38号 第4条)。
つまり、担当が代わっても契約は事業所との間で続きます。担当変更は事業所内の引き継ぎで処理するのが筋道です。
- 退職の申し出は、給付管理の区切り(月末)と担当者会議の予定を見て時期を決める
- 担当者一覧・訪問記録・モニタリング記録・サービス事業者の連絡先を整理して残す
- 利用者と家族への説明は、事業所の方針に沿って後任と一緒に行う
- 転職先へ利用者を誘導しない。声をかけられた場合も、判断は事業所間の話として扱う
利用者から「次の事業所についていきたい」と言われることがあります。気持ちはうれしいものですが、個人の判断で連れて移る形は避けるのが安全です。
在職中の事業所と転職先の双方にとって、後から問題になりやすい行為だからです。迷ったときは、事業所の管理者と地域包括支援センターに相談してから動きます。
複数の事業所の条件を同じ物差しで比べたいときは、条件を整理して提示してくれる転職支援サービスを併用すると、確認の手数が減ります。
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担当件数・ケアマネの人数・事務体制は、募集条件を横に並べると差が見えてきます。応募先を絞り込む前に、通える範囲の求人を一度まとめて確認してみてください。
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よくある転職理由と、面接での言い換え
| 実際の理由 | そのまま言うと | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 担当件数が多く回らない | 忙しさへの不満に聞こえる | 「1件ごとに時間をかけて関わりたい」と、やりたい水準の話にする |
| 1人事業所で相談相手がいない | 前の職場の批判に見える | 「複数名の体制で、判断を持ち寄る働き方をしたい」 |
| 給付管理や事務が重い | 業務への拒否感に映る | 「事務体制が整った環境で、訪問に時間を配分したい」 |
| 施設ケアマネで介護業務の兼務が多い | 兼務を嫌がっていると読まれる | 「計画作成に専念できる配置で経験を深めたい」 |
| 通勤・家庭との両立 | 事情説明だけで終わる | 「長く続けられる範囲で担当を持ち続けたい」 |
前の職場を評価する言い方は、どれだけ事実でも印象に残りません。「次の職場で何をしたいか」に置き換えるのが、いちばん確実な整理です。
よくある質問
Q1:ケアマネの転職先にはどんな種類がありますか?
大きく5つです。居宅介護支援事業所、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設)、特定施設(介護付き有料老人ホーム等)、グループホーム、地域包括支援センター。求人票に出る職名は職場によって変わり、特定施設とグループホームでは「計画作成担当者」という名称になります。特定施設の計画作成担当者は専らその職務に従事する介護支援専門員と定められているため、資格の中身は同じです。
Q2:ケアマネの担当件数の上限は何件ですか?
居宅介護支援事業所の人員基準は、利用者の数が44人またはその端数を増すごとに1人です(平成11年厚生省令第38号 第2条第2項)。国民健康保険中央会が運用する居宅サービス計画の情報共有システムを利用し、かつ事務職員を配置している場合は49人ごとに1人になります(同条第3項)。受託した介護予防支援の利用者は、その数に3分の1を乗じて加算します。
Q3:ケアマネの給料は介護職より高いですか?
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」統計表第70表では、介護支援専門員(月給・常勤)の平均給与額が月37万5,410円、介護職員が月33万8,200円で、差は月3万7,210円です。ただし手当額は9万5,700円と9万7,980円でほぼ同額であり、差の実体は基本給(22万4,280円と19万2,660円)にあります。平均年齢と勤続年数にも5.2歳・3.4年の開きがあるため、職種を変えた月にこの差が出るわけではありません。
Q4:ケアマネの実務が未経験でも転職できますか?
職場によります。複数名が在籍する居宅介護支援事業所は、同行と段階的な引き継ぎができるため募集が出やすい側です。逆にケアマネが1人だけの事業所は着任日から単独で回す前提になり、実務未経験には負荷が高くなります。地域包括支援センターは主任介護支援専門員の枠のため、研修の修了が前提です。応募前に「ケアマネは何名いますか」「引き継ぎ期間はどのくらいですか」を確認してください。
Q5:転職するとき、担当していた利用者はどうなりますか?
指定居宅介護支援は、提供開始にあたって事業者が利用申込者や家族に重要事項を説明し同意を得る仕組みです(平成11年厚生省令第38号 第4条)。契約の相手は担当者個人ではなく事業所なので、担当が代わっても契約は続きます。退職時は事業所内で後任へ引き継ぐのが筋道です。利用者から「ついていきたい」と言われても、個人の判断で転職先へ誘導する形は避け、事業所の管理者に相談してから対応してください。
Q6:地域包括支援センターのケアマネになるには何が必要ですか?
介護保険法施行規則第140条の66は、担当区域の第1号被保険者がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、保健師その他これに準ずる者・社会福祉士その他これに準ずる者・主任介護支援専門員その他これに準ずる者を各1人置くと定めています。主任介護支援専門員は主任介護支援専門員研修を修了した人で、修了から5年ごとに更新研修が必要です。枠が原則1人のため空きが出にくく、居宅で経験を積んでから狙う順番になります。
Q7:居宅と施設のケアマネ、どちらが働きやすいですか?
働きやすさの中身が違います。居宅は担当件数が44人(条件を満たせば49人)を基準に増え、訪問と給付管理が月次で回ります。施設は入所者100人に1を標準とする配置で、1施設に1人という形が一般的。施設は入所者の生活の場に常にいるぶん、他職種との距離が近い一方、兼務の話が出やすい傾向があります。特養の介護支援専門員は専従常勤が原則ですが、入所者の処遇に支障がない場合は他職務との兼務が認められています。
まとめ:職名と配置基準から転職先を選ぶ
ケアマネへの転職を決めるための材料を整理します。
この記事のまとめ
- 転職先は5種類。特定施設とグループホームでは職名が「計画作成担当者」になるため、求人検索で取りこぼしやすい
- 居宅の人員基準は利用者44人ごとに1人。所定のシステム利用+事務職員の配置で49人ごとに1人。介護予防支援の受託分は3分の1を乗じて加算
- 施設のケアマネは入所者100人に1を標準で席が1つ。地域包括は主任介護支援専門員の枠が原則1人で空きにくい
- 給与差は月3万7,210円。ただし手当はほぼ同額で、差の実体は基本給3万1,620円と勤続年数の積み上げ
- 応募前に確かめるのは、職場の種別・ケアマネの人数・担当件数の内訳・事務体制・基本給の5点
「ケアマネに移れば楽になる」でも「給料が上がる」でもありません。身体の負担が減り、締め切りと判断の重さが増えるという交換です。
その交換が自分に合うかどうかは、担当件数と体制を実数で聞けば見えてきます。まず職場の種別を決め、そのうえで募集条件を並べてください。
担当件数・ケアマネの人数・事務体制・基本給は、募集条件を並べればすぐ比べられます。通える範囲でどんな職場が募集しているか、確認するところから始めてみてください。
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※本記事は執筆時点で公表されている法令・厚生労働省の統計等の公開情報をもとにした整理であり、個々の事業所の人員配置・担当件数・勤務体制・給与水準・採用条件とは異なります。人員基準や運営基準は省令の改正により変更される場合があります。介護支援専門員の資格要件・研修制度の詳細、および個別の制度判断・労務相談・雇用契約に関する疑問などは、勤務予定地の都道府県・市区町村の介護保険担当課、各都道府県の介護労働安定センター・労働基準監督署・社会保険労務士など有資格者・公的窓口にご相談ください。

