グループホームへの転職|1ユニット9人・夜勤1人の構造と認知症ケアの実際を整理

グループホームへの転職は、1ユニット定員5〜9人という少人数の共同生活を支える仕事です。全国14,341事業所あり、夜勤は共同生活住居ごとに1人以上という基準のため、夜間は原則1人で5〜9人を担当します。調理や洗濯を入居者と一緒に行う点が、他の施設形態との最大の違いです。

この記事でわかること

  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の定員・ユニット数の法的な上限と、そこから決まる働き方
  • 夜勤がなぜ1人体制になるのかと、他の施設形態と比べた受け持ち人数の違い
  • 調理・洗濯を含む生活支援型のケアが、身体介護中心の施設と何が違うか
  • 無資格で働けるか。2024年4月から義務化された認知症介護基礎研修の位置づけ
  • グループホームへの転職が向いている人・慎重に考えたい人と、見学で確認する5点

公的情報源: 厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」(参照)/「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第34号・参照)/「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」(平成12年厚生省告示第29号)/厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(参照)/公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」(参照

グループホームは事業所ごとにユニット数も夜勤の回り方も違います。近隣にどんな条件の募集があるかを先に見ておくと比較の軸ができます。

結論を先に整理します

グループホームの正式名称は認知症対応型共同生活介護です。認知症と診断された要介護者が、少人数で共同生活を送る住まい。「施設に入って介護を受ける」より「一緒に暮らしを回す」に近いのが、この形態の本質です。

厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」では全国14,341事業所(前年比79事業所・0.6%増)。特養の8,621施設より事業所数は多く、地域に点在しています。

この記事の要点
  • 1つの共同生活住居(ユニット)の入居定員は5人以上9人以下、事業所のユニット数は1以上3以下(省令で規定)
  • 日中の配置は利用者3人に介護従業者1人以上(常勤換算)。夜間はユニットごとに1人以上
  • 夜勤の受け持ちは最大9人。人数は少ないが相談相手がいない時間帯という別の負荷がある
  • 無資格でも就業可能だが、2024年4月から認知症介護基礎研修の受講が義務(有資格者は免除)
  • 平均給与額は月30万2,010円で入所系より低め。生活支援中心のため身体介護の負荷は軽くなりやすい


目次

グループホームの定員とユニットの仕組み

グループホームの働き方は、設備基準がほぼそのまま決めています。指定地域密着型サービス基準(平成18年厚生労働省令第34号)第93条では、次のように定められています。

グループホームは1ユニット5〜9人・1事業所3ユニットまでで、全体でも最大27人の小規模職場。
図:グループホームは省令で規模の上限が決まっており、それが働き方をほぼ規定する

グループホームの設備基準(省令ベース)

項目基準
共同生活住居(ユニット)の数1以上3以下
1ユニットの入居定員5人以上9人以下
1居室の定員原則1人(処遇上必要と認められる場合は2人)
1居室の床面積7.43平方メートル以上

つまり事業所全体でも最大27人。特養の1施設当たり定員70.4人と比べると、職場としての規模はまったく違います。

小さい職場であることは、そのまま次の3つを意味します。

  • 入居者の顔と生活歴を全員覚えられる:個別対応の質を上げやすく、変化にも気づきやすい
  • 同僚の数が少ない:日勤帯でも2〜3人という時間帯があり、人間関係の相性が働きやすさに直結する
  • 役割が分かれていない:調理・掃除・買い物・記録・行事まで、1人が幅広く担当する

また、開設主体は営利法人(会社)が55.8%、社会福祉法人が24.2%、医療法人が14.9%。特養のように社会福祉法人一色ではなく、法人の性格が事業所ごとに大きく違います。


夜勤が1人体制になる理由と、その中身

グループホームの夜勤は「ワンオペ」と表現されることがあります。これは職場の方針ではなく、基準の構造から来ています。

グループホームの夜勤は1人あたり5〜9人で最も少ないが、同じ場に他の職員がいない点が特養と異なる。
図:受け持ち人数はグループホームが最も少ないが、相談相手が同じ場にいないという別の負荷がある(平成12年厚生省告示第29号)

基準はユニットごとに1人以上

人員基準(平成18年厚生労働省令第34号 第90条)は、介護従業者を常勤換算方法で利用者3人ごとに1人以上とするほか、夜間及び深夜の時間帯を通じて1人以上の介護従業者に夜間及び深夜の勤務を行わせるために必要な数以上と定めています。

夜勤職員の基準(平成12年厚生省告示第29号)でも、認知症対応型共同生活介護は「共同生活住居ごとに1以上」。2ユニット18人の事業所なら、夜勤者は2人(各ユニット1人)という配置になります。

人数は少ないが、判断は1人で行う

受け持ち人数だけを見れば、ユニット型特養の夜勤(2ユニットごとに1人=約20人)よりはるかに少ない。ただしグループホームの夜勤は、同じフロアに一緒に働く人がいないという点で性質が異なります。

夜勤1人が受け持つ人数の下限(基準ベース)

形態夜勤配置の基準1人あたりの目安
グループホーム共同生活住居ごとに1人以上5〜9人
ユニット型特養2ユニットごとに1人以上約20人
介護付有料老人ホーム常に1人以上の介護職員施設規模による
デイサービス夜勤なし

転倒や急変が起きたとき、その場で判断して連絡するのは自分1人。看護職員の配置が人員基準にないことも、他の入所系との違いです(医療連携体制加算等で看護職員を確保している事業所はあります)。

夜勤の回数と、緊急時のオンコール体制。この2つは面接で必ず確認したい項目です。


グループホームの仕事内容は「暮らしを一緒に回す」

グループホームの介護は、身体介護よりも生活支援と認知症ケアが中心になります。入居者の残っている力を使ってもらいながら、暮らしが続くように支える形です。

グループホームは調理や洗濯を入居者と一緒に行う生活支援が中心で、入所施設の身体介護中心型とは業務構成が違う。
図:グループホームは「介護する」より「一緒に暮らしを回す」に近い業務構成(厚労省・令和6年度介護従事者処遇状況等調査)

グループホームの主な業務

区分内容特徴
生活支援調理・洗濯・掃除・買い物入居者と一緒に行うのが原則
身体介護入浴・排泄・移動の介助個別対応。必要な部分だけ手を出す
認知症ケア声かけ・見守り・行動への対応一人ひとりで対応が変わる
地域との関わり散歩・買い物・地域行事地域密着型サービスとしての役割
記録・計画介護記録・計画作成担当者との連携少人数のため記録量は多くない

とくに調理は、他の施設形態にはない業務です。厨房が別にある特養や有料老人ホームと違い、グループホームでは職員が入居者と一緒に台所に立ちます。料理が苦手な人にとってはハードルになる一方、生活のリズムを共有できる場面でもあります。

計画作成担当者は、省令第90条により事業所ごとに配置が必要とされ、認知症対応型共同生活介護計画の作成を担当します。少人数の職場では、この役割を目指す道がキャリアの一つになります。

給与面では、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」の平均給与額が月30万2,010円。介護老人福祉施設の36万1,860円と比べると月6万円ほど低い水準です。夜勤はあるものの回数が事業所規模に左右されるため、手当の積み上がり方が入所系とは違います。施設種別ごとの給与差の構造は、別記事で内訳まで整理しています。

グループホームはユニット数と夜勤回数で働き方が大きく変わります。条件を並べて比べると、自分に合う規模が見えてきます。

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無資格でも働けるか(2024年4月からの研修義務)

グループホームの介護従業者に、法令上の資格要件はありません。訪問介護のように「介護福祉士または研修修了者に限る」という縛りがないため、無資格・未経験からの入職は制度上可能です。

ただし2021年度の介護報酬改定で、介護に直接携わる職員のうち医療・福祉関係の資格を持たない人に認知症介護基礎研修を受講させることが事業者に義務づけられました。3年間の経過措置が令和6年3月31日で終了し、2024年4月から本格適用されています。

  1. 対象:医療・福祉関係の資格を持たずに介護に直接携わる職員
  2. 免除:介護福祉士、介護職員初任者研修修了者、実務者研修修了者、看護師、社会福祉士など
  3. 新規採用者:採用後1年間の猶予が設けられている

つまり無資格で入職しても、事業所の責任で研修を受けることになります。求人票に「無資格可」とあっても、研修の費用負担と受講時間の扱いは事業所ごとに違うため、ここは面接で確認しておきたい点です。

資格取得を支援する制度を持つ事業者もあります。働きながら資格を取る道筋は、別記事で整理しています。


グループホームへの転職が向いている人・慎重に考えたい人

グループホームへの転職が向いている人

  • 一人ひとりとじっくり関わりたい:定員最大9人のため、生活歴も好みも把握したうえでケアができる
  • 認知症ケアを専門にしたい:認知症の方だけが対象であり、実践の密度が高い
  • 家事が苦にならない:調理・洗濯・掃除が日常業務に含まれる
  • 身体的負担を抑えたい:全介助の比率は入所系より低く、残存能力を活かす関わりが中心
  • 自分で判断して動きたい:役割分担が細かくないぶん、裁量の幅が広い

慎重に考えたい人

  • 夜勤を1人で担当することに不安がある:基準上ユニットごとに1人。急変時の判断も1人で行う
  • 収入を優先したい:平均給与額は月30万2,010円で、入所系より月6万円ほど低い水準
  • 大人数のチームで働きたい:職場全体で数名〜十数名。人間関係の相性が働きやすさを大きく左右する
  • 身体介護の技術を集中して積みたい:移乗や入浴の全介助を反復する量は、特養より少なくなりやすい
  • 医療的な後ろ盾を重視する:看護職員の配置が人員基準になく、事業所によって医療連携の体制が異なる

介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」では、介護労働者の満足度D.I.は「職場の人間関係」が+32.4と最も高い項目でした。少人数職場では、この項目の振れ幅がそのまま定着率に出ます。


見学で確認したい5つのポイント

同調査によると、中途採用者が直前の介護の仕事を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」で24.7%。さらにその内容として最も多かったのが「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」で、該当者の49.1%でした。少人数の職場ほど、この影響は逃げ場なく効きます。

  1. ユニット数と夜勤回数:1ユニットか2ユニットかで、夜勤の頻度も日勤帯の人数も変わる
  2. 夜勤時の連絡体制:急変時に誰へ、どの順で連絡するか。オンコールの担当は誰か
  3. 調理の分担:職員がどこまで担当し、入居者とどう一緒に行うか
  4. 認知症介護基礎研修の費用と受講時間の扱い:無資格で入る場合は必ず確認する
  5. 職員の勤続年数と直近の入退職:見学時に働いている職員の年数を聞くと、定着の実態が見える

見学では、入居者と職員が同じ食卓についているかどうかを見ておくと参考になります。生活を共有する形が機能しているかが、いちばん表れる場面です。

複数の事業所を同じ質問で比較したいときは、条件を整理してくれる転職支援サービスを併用する方法もあります。


よくある質問

Q1:グループホームの夜勤は1人ですか?

基準上は、共同生活住居(ユニット)ごとに1人以上です。「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」(平成12年厚生省告示第29号)で定められており、1ユニットの定員が5〜9人のため、夜勤者1人が最大9人を担当します。2ユニットの事業所なら夜勤者は2人(各ユニット1人)。基準は下限であり、実際の配置は事業所ごとに異なります。

Q2:グループホームは無資格でも働けますか?

介護従業者に法令上の資格要件はないため、制度上は無資格でも就業できます。ただし2024年4月以降、医療・福祉関係の資格を持たない職員は認知症介護基礎研修の受講が義務(新規採用者は採用後1年の猶予あり)。介護福祉士・初任者研修修了者・実務者研修修了者・看護師などは免除されます。費用負担と受講時間の扱いは事業所ごとに違うため、面接で確認してください。

Q3:グループホームの人員配置基準はどうなっていますか?

指定地域密着型サービス基準(平成18年厚生労働省令第34号)第90条により、介護従業者は常勤換算方法で利用者3人ごとに1人以上、加えて夜間および深夜の時間帯を通じて1人以上の介護従業者に夜勤を行わせるために必要な数以上とされています。介護従業者のうち1人以上は常勤である必要があり、計画作成担当者を事業所ごとに配置します。

Q4:グループホームの給料はいくらですか?

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」では、認知症対応型共同生活介護の平均給与額は月30万2,010円(月給・常勤、処遇改善加算取得事業所)。介護老人福祉施設の36万1,860円より約6万円低く、通所介護の29万4,440円よりはやや高い水準です。夜勤はありますが、事業所規模により回数が変わるため手当の積み上がり方は入所系と異なります。

Q5:グループホームは特養と何が違いますか?

対象者・規模・ケアの型が違います。グループホームは認知症と診断された要介護者が対象で、1ユニット5〜9人・事業所最大3ユニット。調理や洗濯を入居者と一緒に行う生活支援が中心です。特養は原則要介護3以上で1施設当たり定員70.4人、身体介護が中心。関わりの深さを取るならグループホーム、技術の反復量を取るなら特養という整理になります。

Q6:グループホームは全国にどれくらいありますか?

厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、認知症対応型共同生活介護は全国14,341事業所(前年比79事業所・0.6%増)です。開設主体は営利法人(会社)55.8%、社会福祉法人24.2%、医療法人14.9%。事業所数では特養の8,621施設を上回り、地域に分散して立地しています。


まとめ:グループホームは「人数の少なさ」が長所と短所の両方になる

グループホームへの転職を判断するための材料を整理します。

この記事のまとめ
  • 1ユニット定員5〜9人、事業所のユニット数は1〜3。全体でも最大27人という小さな職場
  • 全国14,341事業所で、開設主体は営利法人55.8%・社会福祉法人24.2%と分散している
  • 夜勤はユニットごとに1人以上。受け持ち人数は少ないが、判断も対応も1人で行う
  • 調理・洗濯を入居者と一緒に行う生活支援型のケアが中心。身体介護の負荷は入所系より軽い
  • 無資格でも就業可能だが認知症介護基礎研修が義務。平均給与額は月30万2,010円

グループホームの魅力は、一人ひとりの暮らしに深く入れることにあります。9人までなら、好きな味も昔の仕事も分かったうえでケアができる。これは大規模施設では難しい関わり方です。

同時に、その少人数が夜勤の孤独と職場の狭さにもなります。夜勤の連絡体制と、働いている職員の勤続年数。この2つを見学で確かめられれば、判断の精度はぐっと上がります。

ユニット数・夜勤回数・研修の扱いは、求人条件を並べて比べるのが近道です。通える範囲の募集内容から確認してみてください。

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免責事項

※本記事は執筆時点で公表されている厚生労働省の統計・法令・告示等の公開情報をもとにした整理であり、個々の事業所の人員配置・勤務体制・給与水準とは異なります。人員基準や研修義務の要件は制度改正により変更される場合があります。個別の労務相談・夜勤体制に関する疑問などは、各都道府県の介護労働安定センター・労働基準監督署・社会保険労務士など有資格者・公的窓口にご相談ください。


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この記事を書いた人

Nakajimaです。高校を出てすぐ特別養護老人ホームに入り、そこから15年、特養10年・グループホーム3年・訪問介護2年を経て、いまはデイサービスで働いています。介護の4つの現場を全部歩いてきました。

働いて分かったのは、経験年数を重ねることより「施設のタイプを変えること」のほうが年収が上がりやすい、という現実でした。処遇改善加算が実際の給与にどう反映されるかも、勤めた4か所でずいぶん違います。私自身、転職を3回して、そのたびに手取りが変わっていきました。

いまはケアマネジャーの受験勉強をしながら、20歳の自分に教えたかったこと、転職に迷った30歳の自分に渡したかった情報を書いています。厚労省の実態調査とも突き合わせているので、施設選びの参考にしてください。

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